かき養殖は、昭和27年頃から、農家の冬の副業として取り入れられたのが始まりで、今も約60名が舞鶴かき組合に加入し、種苗の共同購入などを行っています。
舞鶴かきは、広島県や宮城県からホタテ貝に付着したまがきの種苗を購入し、約6mのロープに8枚から10枚を固定し、いかだから吊り下げて育てます。いかだは、舞鶴湾の中でも波静かな入江に置かれ、まがきは、海中のプランクトンを餌として成長し、雪が降り、水温が下がる12月から3月にかけて身が白くなり、大きく美味しくなってから収穫することが舞鶴かきのうまさの秘訣です。
「まがき」は植物プランクトンを餌として育ちますが、栄養分が豊富な舞鶴湾で育つ「舞鶴かき」は、身がぷりっとして粒が大きく、濃厚な味が特徴です。
「まがき」の食べ方は、滅菌したものを生で食べる「生食用」と、加熱して食べる「加熱用」がありますが、「舞鶴かき」はすべて「加熱用」で、生食での出荷行程を経ていないので、うま味・栄養分をたっぷり含んでおり、「焼きがき」、「かきフライ」、「かきご飯」、「かき鍋」など、たいへん使いやすい冬の地元食材です。写真は、かき、舞鶴特産のかまぼこ、野菜、卵を主な材料とじて作られた「舞鶴かき丼」。毎年のリピーターもたくさんおられます。
「まがき」の養殖は、紀元前のローマ帝国時代から始まっており、日本では1600年代の江戸時代に広島湾周辺で開始されたようで、長い歴史があります。これは単に美味しいからということからだけでなく、健康食品としての価値が高いことを、人は昔から経験的に知っていたからではないでしょうか。
栄養的には、エネルギーの源といわれているグリコーゲンをはじめ、ビタミン・鉄・銅・亜鉛などのミネラル分が多く含まれており、更に血液中のコレステロールを減らすとともに、肝臓の働きを助けるタウリンを多く含んでいます。
※「丹後のうみに学ぶ 京のお魚大集合」京都府立海洋センター編集、京都新聞出版センターから引用