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投稿日/2021年10月22日

舞鶴かまぼこの原料魚(その5)  かまぼこ百科⑱

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこの原料魚(その5) 

スケトウダラともスケソウダラとも言うが、その名前のとおりタラ目、タラ科の魚である。 最も大量に、最も安定的に生産と供給ができている冷凍すりみとして、世界中の煉製品の原料として使われている。
日本海、西北太平洋、ベーリング海だけに生息している。 昔は日本の船団がこうした海域に出向き操業をしてスケソウすりみを持ち帰っていたが、200海里専管水域が決まってからは、日本の船が勝手によその国の海域にはいることができなくなったため、工船を売却するなどをして海外で多くを生産するようになった。
つまり1990年代の10年の間にすりみは国産品から輸入品へとすっかり姿を変えてしまったのである。
スケソウダラ冷凍すりみの品質は上級から下級まできめ細かくランク付けされている。
ベーリングでの工船もの(船内がすりみ工場となっていて、漁獲してすぐに船内ですりみにされて、急速凍結されるもの)はその鮮度のよさから陸上すりみ(魚を水揚げして陸上のすりみ工場ですりみにされ急速冷凍されるもの)よりも上級のものができる。
主に舞鶴かまぼこ(板付きかまぼこ)の原料として買い付けしているすりみは、その中でも最高級(SAランク)のものである。
スケソウダラのすりみは、味はそれほど強くないが、そのしなやかさと色の白さは、かまぼこのよい食感をつくりだす為にはなくてはならないものとなっている。
しかも、ベーリング海では米国が徹底した資源管理をしているため、他の海域のような資源の枯渇のリスクも少なく、比較的安定な資源として世界中の煉製品メーカーが使用している。
スケソウダラでは、唯一の国産すりみとして残った北海道の陸上工場でつくるすりみも一部使用しているが、これも、舞鶴では別注品として品質の高いもののみを購入して、揚げ物(=天ぷら)、ちくわなどに使用している。
そもそも、魚肉すりみに砂糖、ソルビトールのような糖を配合して冷凍すると、たんぱく質の冷凍変性が抑えられるという発見があったからこそ、このようなすりみ産業が発展したのである。
現在、すりみ(Surimi)は国際用語になっている。 冷凍すりみは日本人が開発し、世界中にひろめた食糧資源である。 現在では、北洋資源のスケソウダラ、ホッケのほかに南米チリ周辺でホキ、南ダラ、東南アジアでイトヨリダイ、キントキダイ、ハモ、グチなどのすりみ生産がおこなわれ、世界中に流通するようになっている。
かまぼこ工場についても、すでにリトアニアにはヨーロッパ向けの煉製品をつくる世界最大規模の工場もできているらしく、原料だけでなく製品(かまぼこ)製造も世界中にひろまってきている。 むろん日本以外でつくられているかまぼこ類は、カニ肉に似せた商品、揚げ物などが中心であり、板についたスタイルのかまぼこはほとんど流通していない。

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