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投稿日/2024年1月23日

商品紹介 「焼きの極」髙作謹製  かまぼこ百科㉓

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

商品紹介 「焼きの極」髙作謹製

『焼の極(やきのきわみ)』は、第61回全国蒲鉾品評会(平成21年)で、水産庁長官賞を受賞したことで一躍有名になった。
さらに、大阪で実施された第60回全国水産加工たべもの展 (平成23年)でも、みごと水産庁長官賞を受賞し、舞鶴では数年の間に同じ商品が二度も長官賞を受賞した例はない。
この焼板は実に美味しい。生産者は舞鶴でも独特の製法で知られる“髙作”であり、店主は髙野真一氏(昭和32年生まれ)である。
彼は、自分で何台もパソコンを組み立てたり、会社や家屋のちょっとした改造を自分でしたりと、たいへん器用なところもあり、自然科学などに対する造詣も深く、かまぼこ屋の主人とは思えないような知識を披露し、その場を驚かせたりすることが多い。
数年前、私が、市内の宮前町界隈の飲み屋さんではしご酒をしていると、おつまみにこのかまぼこをカットしたものがでてきたことがあったが、それを食べたとき、乾いたオカキやスルメでなかったので、かえって新鮮で、手前勝手ながら、やっぱり『焼の極』は美味しいものだといたく感動した思い出がある。
表面を焼くことで、すりみの火ぶくれした少々厚めの皮ができ、それが少し歯にあたって香ばしい。また、それを突き破って下の身に歯が到達すると、こんどはソフトでしなやかな雑味のない透き通った味覚が感じられ、それが皮の香ばしさと一体になってのどに送られる。食べるとそんな表現がぴったりのかまぼこである。
髙作はこのシリーズ第二稿でも述べたが、現存の舞鶴のかまぼこ屋さんの中では、もっとも古く、創業は江戸時代というからすごい。
しかしながら、古い歴史とは別に、絶えず新しい技術を取り入れて製造しており、伝統の技術をうけつぎながら、近代化も同時に進めている。これが、老舗の老舗たるゆえんなのかもしれない。
特に、練成工程では、舞鶴の他のかまぼこ屋さんの多くが、サイレントカッターを使用している中で、いち早くボールカッターに切り替え、真空、高速などの条件を加えることで、きめ細かく、みずみずしい食感をうみだすことに成功している。
髙作は、家族中心の個人商店であり、規模はそれほど大きくはないが、近年、舞鶴市魚屋に新工場を建て、4人の子育てをし、PTAやロータリークラブなどの活動にも積極的に参画しながら、かまぼこ生産に励んでいる。
平成20年に舞鶴蒲鉾協同組合の理事長であった嶋田正男氏が亡くなった後、髙作の店主である髙野 真一氏が舞鶴かまぼこ協同組合(平成24年に社名変更)の理事長となり、日々、舞鶴かまぼこの発展のために努力している。
話はそれるが、髙野真一氏の父親で先代の故髙野利夫氏(平成8年没) はかまぼこ製造中にサイレントカッターで誤って指を落とし、煉り肉の中から自分の指をさがし出し、それを氷漬けにして自ら病院に行き、治療を受けたという気丈な方で、業界では有名な話である。むろん、髙作に限らず、かまぼこ屋さんには他にも武勇伝をもった気丈な人が多い。

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