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投稿日/2024年2月14日

舞鶴かまぼこのこだわり  かまぼこ百科㊹

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこのこだわり

私がこの業界に足を踏み入れた35年ほど前までは、まだ、舞鶴のかまぼこ屋さんは、それぞれ各社で生すりみ加工を行っていた。北洋のスケソウダラを原料とする冷凍すりみ技術が完成し、全国流通するようになると、ほとんどのかまぼこ屋さんは、冷凍すりみに依存し、面倒な鮮魚生すりみ加工からは足を洗っていった。
そんな中、鮮魚からつくるかまぼこの伝統の味を忘れてはいけないというかたくなな先人の意思もあり、舞鶴では相変わらず昔ながらの伝統の製法を残し続けていたのである。
つまり、その頃は、組合はかまぼこ屋さんである組合員さんに、必要なだけ鮮魚を供給して、組合員さんが、それぞれの工場で、魚の頭、内臓、骨、皮を取り除いて、魚の身だけを取り出し、それを水で晒して、脱水して、かまぼこの原料となる すりみを製造し、それをさらに加工してかまぼこにするという一連の工程を受け持っていたわけである。
私が業界にお世話になることを決めたころ、当時のかまぼこ屋さんに行くと、薄暗いような部屋で、女工さんが魚の頭を切っている姿を見かけたし、工場の床には、 魚の頭や内臓が落ちていたり、魚の血が流れていたりして、工場そのものが生臭かったのを覚えている。
組合の職員であった私も、近くに漁師町があるとはいえ、こんな環境の職場には、おそらく将来、若い人が働きにきてくれないのではないかという不安を抱いていた。
この生すり身の加工を衛生的で機械化された工場で一括しておこなうことができれば、組合員の工場は衛生的になり、わずらわしい鮮魚の買付、加工に時間をとられなくて済むのではと考えた当時の役職員が、長年の構想をペースに、舞鶴市和田の水産加工センター(協)内に、昭和54年に組合の生スリミ生産直営工業を建設したのであった。
舞鶴かまぼこ協同組合として、加工センターの排水処理施設などを含めて 数億円の投資をして建設した最新の施設“すりみ工場”も、すでに34年目をむかえ、あちこちが老朽化してきているのが現状である。
舞鶴かまぼこのこだわりは“生すりみ”にありというくらい、この地元の鮮魚からつくる生すりみを舞鶴かまぼこに配合することそのものが舞鶴かまぼこの“こだわり”であり、この伝統の製法をこれからもひき続いて受け継いでいく為には、老朽化してきたすりみ工場を建て替え、いつか“新”すりみ工場の建設していかねばという思いもある。
舞鶴市民にこれだけ愛されて育てられてきた“舞鶴かまぼこ”の伝統の味をそう簡単に消し去るわけにはいかないからである。
伝統を守るということは、現在の社会情勢、自然環境の中では、それなりに厳しい道のりであることも予想される。
すりみ工場は、現在、自動ラインの処理機械を配し、女子従業員と工場長の数名で運営している。この職場に夢を与えることができるかどうか、一番にリスクと感じていてるのは地元の漁業資源の将来であり、最近の漁獲量の低迷には大いに不安を抱かざるを得ないのである。

 

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