かまぼこ博士のかまぼこ百科
「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次、21回に分けて掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまいます。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのでご了承ください。
ダイエットの基本は栄養価が高く、それでいて低エネルギーのものを食べることである。そういった意味からもおすすめしたいのが「かまぼこ」である。
油で揚げた分エネルギーが高くなる揚げかまぼこ(舞鶴ではてんぷらという)にしても、カロリーは卵よりも低く、普通サイズの蒸しかまぼこだと、1本で約100キロカロリーしかなく。豚肉の半分以下の低さである。
ダイエット中はタンパク質が不足しがちであるが、かまぼこは高タンパク質であり、これをおぎなっていけるダイエットの強い味方なのである。
たんぱく質はアミノ酸が鎖状につながってできており、そのつながり方は食品によって違う。アミノ酸は約20種類あり、このうち体内で合成できない9種類を必須アミノ酸というのであるが、このアミノ酸をバランスよく含んでいるものが良質たんぱくといわれる。必須アミノ酸をどのくらい含むかを示したものがアミノ酸スコアで、これは理想的なたんぱく質を100点とした場合、食品がどれだけ理想値に近いかを示す数値である。
かまぼこ製品のたんぱく質の評価は必須アミノ酸をバランス良く含んでいるため、いわば、100点に近く、必須アミノ酸の一部が不足しているご飯や麺類、大豆などもかまぼこ製品と組み合わせることでおのおの不足分を補うことができるのである。
栄養成分としての意味はないが、最近、かまぼこの持つ独特の食感が脳によい影響をあたえるというような研究報告もでてきている。
中国では、この種の食感のことを「脆(ツオエイ)」といって表現し、中国人がもっとも好むところのものであるとのことである。
やわらかいものばかりを、ろくに咀嚼しないで食道に流し込むような食事が増えてきている現代人の脳はある意味、退化しているのだそうである。
かまぼこ製品には、一度かんだくらいではかみきれない強い弾力を持つものがあるため、消化が良くないと考える人がいるが、実はまったく逆なのである。
かまぼこ製品の弾力は、魚のたんぱく質だけで、その性質をうまく利用してつくられたものであり、魚肉をペースト状にするので、筋肉繊維がすりつぶされて消化されやすくなってるのである。
したがって、かまぼこは、育ちざかりの子供や、体力の弱った老人にとっても、とても吸収性のよい胃腸にやさしい食品ということになるのである。
かまぼこは日本人が平安時代以前から1000年もの間、食べ続けてきた誇るべき日本の伝統食品であり、似たような食品は、その発祥の地といわれている東南アジアの国々の一部に残っているが、鮮魚を加工して、現在のような食感と品質の“かまぼこ”にまで発展させた民族は世界広しといえでも日本人しかいないのである。