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投稿日/2021年9月3日

かまぼこ板の役目  かまぼこ百科⑪

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこ板の役目 

「かまぼこの板はいらない。かまぼこの身だけがあればいい。板はもったいない」といわれる消費者の方がおられるのだが、考えようによっては、それは“かまぼこ”という食品の伝統と知恵を否定する考え方だともいえる。
かまぼこは板があったから、現在のように量産が可能になったし、日持ちをはじめとする品質の向上を可能にしたのだと考えてよいだろう。つまり、板はかまぼこの原料である糊のような粘着性の高い扱いのやっかいな魚の肉糊を運び、包み込む運搬(包装)容器のような働きをしているものと考えていただきたいのである。
また、日本人は、古くから、木の香りを楽しんだり、草木から天然由来の保存効果などを発見して活用してきた。 特に最近の化学の発展により、場合によっては木材がプラスチックなど別の素材に置き換わったものなども多数あるが、かまぼこ板は現在でも木を原料としているのはご存知のとおりである。
森林は人間が手をかけて育て、管理してやらなければいつかは荒れてしまうといわれる、実際には、かまぼこ板の原料は風で倒れたり、落雷で折れたり、木を管理する工程で発生する間伐材なども利用しているので、資源の循環としてむしろ、好意的に見ていただきたいくらいのものなのである。 しかし、どんな種類の木でもよいというわけではなく、消費者の好みに応じて、杉材やモミ材が一般的に使われている。 板には上述したようにその板臭があまりに激しいようなものは使えないし、更に板そのものを違う素材で置き換えようとしても、現在のところ、コスト面、機能面で木材に替わるものは見つかっていない。
天然の木には、もともと微細な穴がたくさん開いている。当然ながら、木が生きているときに水や養分を吸い上げた穴が残っているからであり、その空洞が微妙にかまぼこの保存性を支えているのである。
かまぼこの水分は、製造してから一部離水した水は、板の微細な空洞に吸い込まれる。だが、かまぼこの身が乾燥をはじめると、板の空洞にたまった水分がかまぼこの身に補給される。
つまり、かまぼこの身とかまぼこ板の間には適当な水分のやりとりがあるのである。
それが証拠にかまぼこを板からはずして置いておくと、すぐに表面から水分が蒸発して乾燥して変色したり、組織の劣化が起こったりする。
また、かまぼこ板に木材以外のものを探しても、そういう自然の微細構造を人工的に、廉価で作ることが極めて難しく、現在においても木にかわるものはない。
元々、魚肉を練り上げて形をつくる工程では、魚肉は肉糊といわれるほど、粘りと接着性が強くて、何かに身を巻きつけるか、乗せるか、包むか、一気に加熱してしまうしか加工する方法が考えられない。  特に舞鶴かまぼこはソフトであるがコシが強いという特徴を持っているため、特に板の持つ保湿効果は、舞鶴かまぼこの品質(みずみずしさ)を保つ上では必要不可欠のものなのである。かまぼこ板はそのほかにも、かまぼこをスライスする際にまな板が不要で、切るものさえあれば、どこでもカットでき、しかも包丁の刃をいためないという物理的な利点もある。 最近では、全国初となる本物のかまぼこ板を使った「舞鶴かまぼこ手形(特典付きバス乗車チケット)」を発行して、観光にも一役買っている。

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