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投稿日/2024年1月27日

かまぼこの表面がピンク色である理由  かまぼこ百科㉗

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこの表面がピンク色である理由

小中学校の社会見学でお越しになった生徒さんが、私ども見学にこられて、たくさんの質問をされるわけであるが、その中でも、高い確率でこの質問が出てくる。
古くから、日本人は、中国から渡来した紅染の技法とほんのりした色合いを深く愛してきた。紅花や紅については「万葉集」の中の相聞歌に多くみられる。古の男女の心をとらえた色が「紅花」であり、「紅」だった。また、淡い紅色が日本人に深く愛された要因の一つに、冠位や身分を示す青、赤、黄丹(きあか)、支子(くちなし)、深紫(こむらさき)などの「禁色 (きんじき)」<身分の低い人は使ってはいけない色>であったことだ。その禁色の赤だが、薄い紅色の赤は「許色(ゆるしいろ)」として使うことが許されていた。
そのくらい庶民にも長い歴史の間、好まれ、愛されてきた色であったわけである。
現在では、ハレの日の色は、紅白を主体としていることが多い。運動会、竣工式、起工式、祭り等々、紅白の幕がとことどころにみられるようになる。
ハレ(非日常という意味)の料理<日常の料理はケの料理という>には、むかしから紅白のかまぼこが使われていたし、節句料理の中でも正月料理として残ったおせち料理にも、おめでたさを表現するハレの料理として紅白のかまぼこが使われてきた経緯がある。
また、かまぼこの表面は染められているわけではなく、単に、食用色素を練り込んだすりみを薄く表面に薄く押し出しているだけのことである。よく見ると、かまぼこの表面には薄い紅色の層ができているのがわかる。
かまぼこの成形機から送り出される身を見ていると、その成形機の金型を変えることで、紅白のかたちを、中央から半分紅色で半分白色だとか、かまぼこの中央に金太郎あめのように模様のはいったかまぼこも作ることができる。
また、最近では、お祝いだけでなく、法事にもかまぼこが使われるが、さすがに 紅白のかまぼこでは気が引けるので、食用の若草色を使って、緑の塗り身で覆った蒲鉾も注文に応じて生産している。(白いかまぼこの表面に法事の図柄を入れた包装紙で包装している場合もある。)
北洋のスケソウダラは、かつては無尽蔵にある資源といわれたこともあったほど資源量も多く、価格も安価であったことから、これを冷凍すりみにする技術が開発されてから、全国のかまぼこ屋さんが、近海魚の加工をあきらめて、冷凍すりみを使ってかまぼこ製造をするようになり、さらに高度成長期には、各種の効率的な生産機械ができて、蒲鉾屋さんの生産能力が飛躍的に向上したことにより、かまぼこはかつてのような高級品から日常的な比較的廉価な加工品に変化してしまった。 つまり、ハレの食品からケの食品に変化しつつあるということになる。
しかしながら、昔ながらの製法を一部保持しながら、伝統を守り続けている舞鶴かまぼこは、廉価商品とは少し距離を置いて、あくまでも、地元の鮮魚を使った伝統の製法でかまぼこを作り続けている。どのような時代になろうと、おいしいかまぼこを食べていただけることこそが我々舞鶴のかまぼこ生産者の使命であると考えているからである。

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