うおづるくん 舞鶴のさかな 一般社団法人舞鶴市水産協会

舞鶴のさかなのガイドページです。
さかなの街舞鶴の魅力をご紹介します。

投稿者: maizurusakana

投稿日/2021年10月29日

ブラックバスでかまぼこを世界で初めて作った人  かまぼこ百科⑲

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

ブラックバスでかまぼこを世界で初めて作った人 

1992年というから今から20年以上も前、滋賀県琵琶湖のブラックバスなどの外来魚の繁殖により、滋賀県の特産である「ふな寿司」などの名産に使うニゴロブナや、琵琶湖の佃煮の原料であるモロコやゴリなどが消えてしまうのではないかと大問題になったことがあった。
そこで、琵琶湖からブラックバスを撲滅することに国から補助金がついたので、漁師さんがいっせいにブラックバス捕獲しはじめたことがあった。
しかしながら、漁獲したブラックバスがどんどんと増えてくると、廃棄処分も間に合わず、保管する場所にも困るようになり、大量のブラックバスの活用方法を早急に考えなければならなくなっていた。 当時、ブラックバスの利用法として、フランス料理に使ったり、から揚げにしたりといった料理法が考えられていたが、それだけでは、とても大量のブラックバスを消化することができなかった。
当時、滋賀県の食品技術アドバイザーをしておられた日本食品開発研究所の故太田博士が、直営のすりみ工場を持っている舞鶴かまぼこ組合に目をつけられ、ブラックバスをすりみにしてかまぼこにすることができれば、毎日、数トンもの原料が消化できると考えられ、当時、太田博士と親しくしていた私に研究を依頼してこられたのであった。
ブラックバスは、スズキの仲間でもあり、肉食の白身魚でもある。 内臓はにおいがきついが、内臓を除去して水洗いをすると、さほど強烈な臭いもせず、淡水魚にしては淡白であるがうまみがあることもわかった。 ただ、実験の結果、弾力面では、高級品への使用が難しいので、当時は試験的にちくわやてんぷらに一部使用してみる実験を続けていた。
50センチを越える丸々としたブラックバスを当時、食通であった故嶋田正男前理事長が持ち帰られ、家で“あらい”にして食べられたが、美味しかったとの感想を聞いたことがあった。
ブラックバスは、弾力等では、北海道の陸上すりみ(スケソウダラ)クラスの成績を示していたので、価格さえ折り合えば、長期の使用は可能であると判断した。
使用実験を数ヶ月おこなって、実際に製品化していたが、実験が終了するころに、国の補助金が打ち切られたため、当時の滋賀県の沖島漁協からは、新鮮なブラックバスが届けられることはなくなった。
したがって、ブラックバスで煉製品を作るプロジェクトはその時点で終了してしまったわけであるが、実験室レベルでは、何度か板についたかまぼこを試作していたので、おそらく世界ではじめてブラックバスでかまぼこ作りをしたのは私ではないかと自負している。 当時、ブラックバスについては、ルアーフィッシングが最盛期の頃であり、わたしも、まだ幼かった息子とよく琵琶湖へバス釣りに出かけたものである。
当時はキャッチ&リリースが認められてたので、ちいさなブラックバスを生きたまま持ち帰り、家で飼育していた。1992年あたりから10年にわたるブラックバス飼育記録は、わたしの個人運営サイト「舞鶴生き物研究所」に今でも残している。<< ※現在は、ブラックバスを勝手に持ち帰り、飼育することは禁じられている。>>

投稿日/2021年10月22日

舞鶴かまぼこの原料魚(その5)  かまぼこ百科⑱

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこの原料魚(その5) 

スケトウダラともスケソウダラとも言うが、その名前のとおりタラ目、タラ科の魚である。 最も大量に、最も安定的に生産と供給ができている冷凍すりみとして、世界中の煉製品の原料として使われている。
日本海、西北太平洋、ベーリング海だけに生息している。 昔は日本の船団がこうした海域に出向き操業をしてスケソウすりみを持ち帰っていたが、200海里専管水域が決まってからは、日本の船が勝手によその国の海域にはいることができなくなったため、工船を売却するなどをして海外で多くを生産するようになった。
つまり1990年代の10年の間にすりみは国産品から輸入品へとすっかり姿を変えてしまったのである。
スケソウダラ冷凍すりみの品質は上級から下級まできめ細かくランク付けされている。
ベーリングでの工船もの(船内がすりみ工場となっていて、漁獲してすぐに船内ですりみにされて、急速凍結されるもの)はその鮮度のよさから陸上すりみ(魚を水揚げして陸上のすりみ工場ですりみにされ急速冷凍されるもの)よりも上級のものができる。
主に舞鶴かまぼこ(板付きかまぼこ)の原料として買い付けしているすりみは、その中でも最高級(SAランク)のものである。
スケソウダラのすりみは、味はそれほど強くないが、そのしなやかさと色の白さは、かまぼこのよい食感をつくりだす為にはなくてはならないものとなっている。
しかも、ベーリング海では米国が徹底した資源管理をしているため、他の海域のような資源の枯渇のリスクも少なく、比較的安定な資源として世界中の煉製品メーカーが使用している。
スケソウダラでは、唯一の国産すりみとして残った北海道の陸上工場でつくるすりみも一部使用しているが、これも、舞鶴では別注品として品質の高いもののみを購入して、揚げ物(=天ぷら)、ちくわなどに使用している。
そもそも、魚肉すりみに砂糖、ソルビトールのような糖を配合して冷凍すると、たんぱく質の冷凍変性が抑えられるという発見があったからこそ、このようなすりみ産業が発展したのである。
現在、すりみ(Surimi)は国際用語になっている。 冷凍すりみは日本人が開発し、世界中にひろめた食糧資源である。 現在では、北洋資源のスケソウダラ、ホッケのほかに南米チリ周辺でホキ、南ダラ、東南アジアでイトヨリダイ、キントキダイ、ハモ、グチなどのすりみ生産がおこなわれ、世界中に流通するようになっている。
かまぼこ工場についても、すでにリトアニアにはヨーロッパ向けの煉製品をつくる世界最大規模の工場もできているらしく、原料だけでなく製品(かまぼこ)製造も世界中にひろまってきている。 むろん日本以外でつくられているかまぼこ類は、カニ肉に似せた商品、揚げ物などが中心であり、板についたスタイルのかまぼこはほとんど流通していない。

投稿日/2021年10月15日

舞鶴かまぼこの原料魚(その4)  かまぼこ百科⑰

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこの原料魚(その4) 

イトヨリダイはスズキ目、イトヨリ科に属し、南日本から東南アジアに分布している。
紅色に輝くからだの側面に八本の銀色の線が入っている美しい魚であるイトヨリダイの名前にはタイがついているが、いっぱんに言う鯛(タイ)ではないため、この魚をつかったからといって、練り製品に“鯛ちくわ”“鯛かまぼこ”などというネーミングをつけることは虚偽表示として認められていない。 そのため、舞鶴の鯛ちくわ(丸海謹製)にはレンコダイを原料として使っている。
日本海でのイトヨリの漁獲量は少ないが、南シナ海、シャム湾、ベンガル湾などの比較的温帯、熱帯の海ではイトヨリダイが大量に底引き網で漁獲されている。
そのため、タイ、インドなどの東南アジアでは、重要な冷凍すりみの原料魚となり、製造したすりみは、自国のほか、日本、欧州など世界中に輸出されている。
舞鶴でも、この魚については、鮮魚から生すりみにすることはほとんど無く、今ではほとんど商社経由で冷凍すりみを東南アジアから輸入している。
東日本の煉製品メーカーが、スケソウダラなどの北の魚を多用しているのに対して、西日本の煉製品メーカーは、イトヨリなどの東南アジアものを多用する傾向がある。
舞鶴では、東南アジアのイトヨリダイのすりみは、品質の高いものだけを輸入して使用しているが、北の魚、地元の魚、南の魚をバランスよく使っている珍しい生産地と言ってもよいだろう。
イトヨリダイは、低温でも高温でもよく座り(本加熱前の温度処理で弾力がますことを坐りという)がかかるが、これも60℃くらいの温度で前処理すると、あとで90℃で蒸しあげても弾力が極端に低下する。 これは先に、グチやエソで述べたことと同様の現象であり、この温度帯がプロテアーゼ(タンパク分解酵素)の働きをよくすることが原因であるといわれている。
グチと同様、イトヨリダイも重合リン酸塩を加えると塩ずり肉の粘度が低下して、だれやすくなる。
昔から、舞鶴では、このダレを嫌う為に、冷凍すりみも無塩すりみよりも加塩すりみ(塩がはいっているかわりに重合リン酸塩が入っていないもの)をよく使っていた。
しかし、最近では、いろんな研究開発が進み、無塩すりみもうまく使えるようになってきている。
いずれにしても、イトヨリダイは坐りという予備加熱の工程を入れることで、強い弾力をつくり、一般的にスケソウダラよりも味が良いことから、板かまぼこにもすこし配合されていることが多い。
しかしながら、このイトヨリダイすりみの生産地であったタイ、インドの資源も近年では、近隣諸国の国情不安定さと燃料の高騰、資源の枯渇化により三重苦の状態になってきており、生産地はインドネシア、マレーシアに徐々に移ってきているように思える。

投稿日/2021年10月8日

舞鶴かまぼこの原料魚(その3)  かまぼこ百科⑯

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
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舞鶴かまぼこの原料魚(その3) 

トビウオはダツ目トビウオ科の魚で世界の暖海域に約60種類ものトビウオが生息しているそうである。 舞鶴では、「丸とび」、「角とび」と上から見た頭の形の違いで2種類に分けている程度ではないだろうか?
出雲の野焼きちくわや山陰のアゴちくわの原料として有名である。だが、現在では、アゴ(=トビウオ)を主たる原料として製品作りをしているメーカーは少なくなってきていると聞いている。
漁期は夏の3ヶ月間ということで短い。 舞鶴でも20年ほど前には大量に水揚げされ、すりみにして毎年夏場には、かまぼこに使っていたことがある。
また、私がこの業界に足を踏み入れた頃、夏になると、毎年トビウオがかならず一ヶ月程度は続いて獲れたので、舞鶴でも夏の風物詩としてトビウオを原料とした“厚焼きかまぼこ”を作っていた。
トビウオは、肉質は白いのだが肉の中に血管が多数分布している(空を飛ぶ為、血管が発達しているのかもしれない)ので、かまぼこにするとやや色がくすんで灰色っぽくなる。
それゆえ、高級品については、あまりたくさんは使うことができず、グチの二、三割程度を置き換えて使う程度であったことを覚えている。
最近、地元では昔のように夏に大量にトビウオが獲れることもなく、すりみに多用することはなくなっているが、また、海の資源状況が良くなれば、使うこともあるだろう。
この魚は冷凍耐性が強いので、凍結貯蔵をしておいて1年を通じて使うこともできる。
ただ、舞鶴では生の鮮魚にこだわってきた関係で、冷凍魚をつかってすりみにすることはこれまでやってこなかったので、トビウオが多く獲れてもかまぼこ用に冷凍にして保管するということは現在もしていない。
<<たちうお>>
タチウオはスズキ目サバ亜目タチウオ科に属する。鋭い歯をもち、長く扁平な体となによりも銀色に輝くその色で非常にポピュラーな魚である。
大型のものは塩焼きなどにすると美味しいので鮮魚扱いで出荷されてしまうため、われわれ練り業者は少し小さいのを買ってすりみにして使う。
この魚も表面の銀粉が身の中に混入して、かまぼこの色が灰褐色になりやすいので、白さを大切にする高級かまぼこには使えない。
舞鶴では、味は非常によい魚なので、色の白さをそれほど要求されない天ぷら、ちくわ等に使っている。
タチウオを使った有名な商品といえば、紀州の産品で有名となった“ほねく”といわれる天ぷらである。 これはタチウオをすりみにせず、頭と内臓以外を丸掛けした(まるごとすり潰した)天ぷらである。
まさに、色とか食感は犠牲にしても、タチウオの旨みだけを活用した商品といえる。
舞鶴では、同様に魚を丸掛けした商品が生産されているが、その代表選手がいわしちくわ(丸海謹製)やジャコだらけ天(嶋岩謹製)などである。

投稿日/2021年10月1日

舞鶴かまぼこの原料魚(その2)  かまぼこ百科⑮

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
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舞鶴かまぼこの原料魚(その2) 

エソはハダカイワシ目エソ科の魚で、世界中の暖海域に分布している。 巨大なアゴと鋭い歯を持ち、非常に獰猛で、写真のように漁獲された網の中でも捕食をして口に他の魚を丸のみしている姿をよくみかける。
舞鶴ではエソの種類はあまり気にせず使っていることが多いが、ワニエソ、トカゲエソ、マエソの3種類が主に漁獲されているらしい。
エソは肉色が非常に白い。グロテスクな魚であるが、藤六かまぼこの先代の店主がよくすりみ工場から、エソのアラを持ち帰って、よろこんで家で食されていたのを思い出す。
あまりにその姿がグロテスクで、顔だけを見ているとゴジラか、エイリアンのように見えたりするので、本当に美味しいのか半信半疑であったが、分析してみるとエソは旨みの非常に強い魚であるということがわかった。 やはり先代の舌は確かだったことが証明されたわけである。最近、エソは舞鶴で比較的よく水揚げされるようになっている。
鮮度のよいエソは、グチと同様に40℃~50℃で高温坐りをかけると弾力の強いかまぼこができる。 ただ、エソでつくる弾力にはグチのようなしなやかさが足りない。
ただ、焼き抜き(蒸さずに最後まで遠火で焼いてつくる)かまぼこについては、独特のよい食感がでるので、山口県の仙崎地区や紀州田辺、豊橋の焼きちくわなどの高級かまぼこを中心とする生産者は、舞鶴におけるグチと同じようにエソを重宝しているようである。
また、グチとの違いとして大きい特徴は、鮮度低下がかまぼこのアシ(=弾力)形成を致命的にするということである。 グチのように遠い漁場から運んできて、陸上ですりみにするということができず、漁場が遠いと、かまぼこの原料としてはあきらめないといけないくらいである。
また、冷凍にも弱く、エソは冷凍にすると、急速に冷凍変性がおこってかまぼこ原料にならなくなるのである。
いずれにしても、この魚をかまぼこにするためには、時間との闘いである。
舞鶴では、弾力面でのエソへの期待はなく、むしろ、味付けに利用しているため、鮮度が特によいものは板かまぼこにも使用するが、天ぷらやちくわの味付けの原料として活用していることのほうが多い。
エソが冷蔵中や氷蔵中に、かまぼこにならなくなる理由として、体内でトリメチルアミンオキサイドを分解してホルマリンを作る性質があり、これがたんぱく質を急速に変性させることが原因であることがわかっている。
余談であるが、エソはその身が美味しいのはもちろんだが、その皮も脂肪が多くて旨みに富んでいるため、四国の八幡浜や紀州田辺では、ごぼうに皮を巻きつけてたれをつけてあぶり焼きにして“八幡巻き”という名産品として売られている。

投稿日/2021年9月24日

舞鶴かまぼこの原料魚(その1)  かまぼこ百科⑭

かまぼこ博士のかまぼこ百科


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舞鶴かまぼこの原料魚(その1) 

シログチは舞鶴かまぼこの高級品に使われている魚種であり、現在でも、毎日、組合のすりみ工場ですりみにして、舞鶴のかまぼこ屋さんに届けている。
グチ類はスズキ目スズキ亜目ニベ科に属する。ニベ科の魚は頭部に大きな耳石(じせき)を持っているので、よくイシモチとよばれる。
ニベ科の魚が最も多く漁獲されているのが、黄海、東シナ海の以西底引き網漁業であった。 過去形で書いたのは、実は、近年になって以西底引き網漁業の衰退がみられ、ニベ類を漁獲する船団がほとんど姿を消してきたからである。
しかしながら、タイをはじめとする東南アジアにも、日本のシログチとよく似た鰓のうしろに黒い斑点のあるタイワンシログチがいる。ただ、何種類かのニベ類と混獲されるために、シログチだけのすりみは生産されておらず、また、日本の以西底引きで漁獲されたものと比較すると全体的に品質が悪い。
現在では、良質のシログチ原料は、中国の漁船で漁獲して、日本の港に揚げる鮮魚と、中国のすりみ工場でつくったシログチの冷凍すりみに限られている。 お隣の韓国では、日本における“鯛”のように、ハレの席の料理に使われる魚である。
地元舞鶴では、少しだが獲れても、鮮魚としての価値は少ないが、たまにスーパーなどのお刺身コーナーで「クツ」という名前で販売されており、私はたまに買って食べるが、白身の淡白な味の魚である。
ただ、地元で獲れるグチ(地元ではクツと呼ばれる)は、残念ながらかまぼこには、さほど向いておらず、以西底引きで獲れるグチよりも少し品質が劣る。 同様に瀬戸内海でとれるグチも使用するが、これも、鮮度がよくても、舞鶴産と同じで、高級かまぼこには余り向いているとはいえない肉質をしている。
しかしながら、グチ類はしなやかさのある強いアシ(=弾力)のかまぼこをつくるためにはなくてはならない魚である。ちょうど、この食感が舞鶴かまぼこの特徴ということになる。
舞鶴かまぼこは2段加熱(一度に蒸さず、40℃~50℃の低温で蒸してから、90℃以上の高温で蒸しあげる)の製法をとっているが、まさにこれはシログチの弾力を最もうまく引き出す為の加熱方法であり、原料魚のこだわりとあわせて舞鶴の伝統の製法となっている。
ただ、温度加減は微妙で、55℃から60℃の温度で蒸してから、高温で蒸しあげると、まったく弾力のないかまぼこになってしまう。 わずか5℃~10℃温度を間違えただけで全く違う品質の商品になってしまうのである。
この魚は、また、かまぼこのために生まれてきたような魚で、鮮度が少々落ちても、なかなかかまぼこのアシ(=弾力)をつくる能力が落ちないのである。
現在のようにコールドチェーンが完備していなかった時代に、かなり遠くはなれた工場まで運んでからかまぼこにしても、そこそこのかまぼこができたらしい。
しかしながら、鮮度が落ちると臭いがするなど、品質には悪影響を及ぼす為、現在では、グチの秘められたその能力の恩恵をうけることはない。

投稿日/2021年9月17日

舞鶴かまぼこをささえる組合組織  かまぼこ百科⑬

かまぼこ博士のかまぼこ百科


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舞鶴かまぼこをささえる組合組織 

舞鶴かまぼこの特徴として、地元あるいは近海の鮮魚を組合直営工場で生すりみにして、舞鶴のメーカーが全員、それを原料として使ってかまぼこ作りをしているということは何度も述べてきた。 もちろん、近海の鮮魚だけでは量は足らないので、冷凍すりみも購入して混ぜて使っている。 一般に高級品になるほど生すりみの比率が高く、下級品になるほど冷凍すりみの比率が高くなるし、その等級も低くなる。
ただ、舞鶴のかまぼこ業界は、他地区とは異なり、組合を中心とした事業運営をしていることから、使用する原材料は組合の検査室で厳重な検査をして、合格したもののみを購入するという形になっているため、組合員であるかまぼこ屋さんが、勝手に原料を買いつけて、安かろう悪かろうに走ろうとしても走れない仕組みになっている。
他の地域では、各かまぼこ屋さんが独自に、ディーラーさんから原料を仕入れるため、現在のようなデフレ状況になると、末端から値下げ要求があると、値段をあわせるために品質が悪くても、安い粗悪品の原料を使ってでも、コストを下げて対応するというようなケースも多いと聞く。
冷凍すりみといえども、舞鶴で使っている原料の等級は最上級のものであり、他の多くの地区よりも1ランクも2ランクも上である。(同業者に、保管している冷凍庫内を見せると、その等級の高さに驚かれることが多い。)
組合では、原材料の共同購入を進め、現在では、組合員の利用結集率が100%近い状態にある。 これは組合と組合員の信頼関係が究極の状態に達していることを意味するものであり、この信頼関係を損なわないような努力が双方に求められている。
また、冒頭に記した“地元鮮魚から造る生すりみ”を地域ぐるみで共同で生産し利用加工している地域は、全国でみても、長崎と舞鶴くらいになっている。
舞鶴かまぼこ協同組合は協同の購入、保管、配送、販売、検査などの事業を実施し、ほぼ、その事業収益のみで運営されている。 組合員との協労によりここ15年来、一度も赤字に陥ることなく、2年前にはかまぼこ型の屋根を特徴とする新社屋を建てることができた。
特に、他の同業者組合にない舞鶴だけの事業が共同加工事業と共同販売事業と協同検査事業である。 共同加工事業は、すでに説明をした地元鮮魚を生すりみにして組合員に供給する事業である。共同販売事業は、組合員企業による独自の販売のほかに、組合でも組合員が製造した製品を買い上げて、他所の地域に販売するという事業である。 通信販売事業である「ふるさと舞鶴便」も運営し、全国のふるさと出身者を中心に舞鶴の産品を広く販売し、好評をいただいている。
注目の共同検査事業であるが、世界最速を誇る原料検査システムや、できあがった組合員の製品の品質検査なども組合で実施し、各種証明書の発行や仕入れ原材料の決定をするための重要なデータ作成業務などをおこなっており、当事業は全国でも注目されている。    検査というとすぐに専門の職員をという人がいるが、私どもでは、普通の高校を卒業した女性も会社で教育して、事務をしながら細菌検査や各種分析業務ができるように育てあげている。 当組合の職員は、全員が中途採用であり、いずれも他企業で働いてきた経験と専門性を持っているので、配送、営業、事務、総務、検査、オペレーターなどいろんな業務を複数こなすことのできるスーパー(ウー)マンが多い。

投稿日/2021年9月10日

おせちとかまぼこ  かまぼこ百科⑫

かまぼこ博士のかまぼこ百科


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なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

おせちとかまぼこ 

おせち料理は、御節料理と書いて、昔は節句に作られる料理のことを指していた。
最近は、特に正月にむけて年末までに用意されるお祝いの料理である正月料理のことをおせち料理というようになった。 現在のように正月からスーパーや百貨店が開いている時代には、味を濃くして保存をよくしたりする本来のおせち料理の必要もなくなり、なんとなく正月のお膳の彩りのような存在になりつつあるのではないだろうか?
おせちは元々、正式には五段の重箱に詰められた料理だった。 一の重には祝肴として田づくり(orたたきごぼう)、数の子、黒豆の三種が入っていた。 かまぼこは二の重に入っていた。二の重には酢の物や口取りといわれる紅白かまぼこ、伊達巻(orだし巻き)、栗きんとん、昆布巻き、お多福豆などが入っていた。三の重には焼き物が、四の重には煮物が、五の重には何もいれない空の重とすることが決められていたが、四の重では縁起がわるいのでそのようにしたといわれている。
それぞれに、新年を迎えての縁起のよいものが料理として使われてきたが、かまぼこは、かならず紅白で入れて、めでたい彩りを演出する役目があるようであるが、元々は神饌(神棚に供するお供え物)の赤米、白米を表すものであったという。
いずれにしても、日本人のめでたさや神聖な色は、ずっと紅白であった。  日本人のDNAにはきっと、この紅白が縁起のよいめでたい色として焼き付けられているような気がする。
おせちの中には、ほかに紅白なますといって、お祝いの水引をかたどった料理もある。
おせちの中に使われている食材は、めでたさを表現するもの、長寿を祈願するもの、子宝を祈願するもの、出世を祈願するもの、来る年の先見性を祈願するもの、幸福を祈願するものなどにわかれている。
その中でも、紅白かまぼこは、めでたさと五穀豊穣を願って加えられたものと考えられる。 上流階級の七五三の祝いの膳にも、昔から紅白かまぼこが使われてきたと言い伝えられているので、とにかく、めでたい席には常連の食品であったことは間違いがない。
今では、かまぼこも、大量生産が可能になり、誰もが食することのできる比較的ポピュラーな加工食品になっているが、昔は比較的裕福で、位の高い人しか味わえないものであったようである。
しかしながら、江戸時代後期の貞丈雑記には「蒲の字、カマとすみて読むことなり。田舎びとはガマとにごりていふなり。」と書かれており、この頃になると、年に何度かは普通の市民でもなんとか、かまぼこを食べることができるようになったのではないかと推察している。
最近、かまぼこも、「舞鶴かまぼこ」のように鮮魚から加工した生すりみを原料とした本格的なかまぼこが少なくなり、他の地区で、おせちに使われている多くのかまぼこが、どちらかというと、味よりも彩(いろどり)を大切にする傾向にあるのが残念である。
おせちスタイルでかまぼをたべていただくのもよいことだが、お雑煮の横に新鮮な地元のかまぼこを11ミリの厚さに切って、皿に盛り、正月を祝って食べていただくほうが、舞鶴らしいかまぼこの食べ方といえるのかもしれない。

投稿日/2021年9月3日

かまぼこ板の役目  かまぼこ百科⑪

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこ板の役目 

「かまぼこの板はいらない。かまぼこの身だけがあればいい。板はもったいない」といわれる消費者の方がおられるのだが、考えようによっては、それは“かまぼこ”という食品の伝統と知恵を否定する考え方だともいえる。
かまぼこは板があったから、現在のように量産が可能になったし、日持ちをはじめとする品質の向上を可能にしたのだと考えてよいだろう。つまり、板はかまぼこの原料である糊のような粘着性の高い扱いのやっかいな魚の肉糊を運び、包み込む運搬(包装)容器のような働きをしているものと考えていただきたいのである。
また、日本人は、古くから、木の香りを楽しんだり、草木から天然由来の保存効果などを発見して活用してきた。 特に最近の化学の発展により、場合によっては木材がプラスチックなど別の素材に置き換わったものなども多数あるが、かまぼこ板は現在でも木を原料としているのはご存知のとおりである。
森林は人間が手をかけて育て、管理してやらなければいつかは荒れてしまうといわれる、実際には、かまぼこ板の原料は風で倒れたり、落雷で折れたり、木を管理する工程で発生する間伐材なども利用しているので、資源の循環としてむしろ、好意的に見ていただきたいくらいのものなのである。 しかし、どんな種類の木でもよいというわけではなく、消費者の好みに応じて、杉材やモミ材が一般的に使われている。 板には上述したようにその板臭があまりに激しいようなものは使えないし、更に板そのものを違う素材で置き換えようとしても、現在のところ、コスト面、機能面で木材に替わるものは見つかっていない。
天然の木には、もともと微細な穴がたくさん開いている。当然ながら、木が生きているときに水や養分を吸い上げた穴が残っているからであり、その空洞が微妙にかまぼこの保存性を支えているのである。
かまぼこの水分は、製造してから一部離水した水は、板の微細な空洞に吸い込まれる。だが、かまぼこの身が乾燥をはじめると、板の空洞にたまった水分がかまぼこの身に補給される。
つまり、かまぼこの身とかまぼこ板の間には適当な水分のやりとりがあるのである。
それが証拠にかまぼこを板からはずして置いておくと、すぐに表面から水分が蒸発して乾燥して変色したり、組織の劣化が起こったりする。
また、かまぼこ板に木材以外のものを探しても、そういう自然の微細構造を人工的に、廉価で作ることが極めて難しく、現在においても木にかわるものはない。
元々、魚肉を練り上げて形をつくる工程では、魚肉は肉糊といわれるほど、粘りと接着性が強くて、何かに身を巻きつけるか、乗せるか、包むか、一気に加熱してしまうしか加工する方法が考えられない。  特に舞鶴かまぼこはソフトであるがコシが強いという特徴を持っているため、特に板の持つ保湿効果は、舞鶴かまぼこの品質(みずみずしさ)を保つ上では必要不可欠のものなのである。かまぼこ板はそのほかにも、かまぼこをスライスする際にまな板が不要で、切るものさえあれば、どこでもカットでき、しかも包丁の刃をいためないという物理的な利点もある。 最近では、全国初となる本物のかまぼこ板を使った「舞鶴かまぼこ手形(特典付きバス乗車チケット)」を発行して、観光にも一役買っている。

投稿日/2021年8月27日

おでんとかまぼこの話  かまぼこ百科⑩

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこと博士」呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

おでんとかまぼこの話 

かまぼこは高タンパク食品であっても、それ以外の油脂分や水溶性蛋白は製造段階で減量する。加工食品はいろんな“健康イメージ”を打ち出して、販売しているが、医食同源ということばの通り、食品は人間に栄養となり、時に薬にもなったりすることがある。
しかしながら、ある特定の食品のある特定の栄養素だけに注目して、偏って食べることは栄養学的にみても好ましいことではなく、おすすめはできない。
通常、ある食品を食べる時はかならず、他の食品からも必要な栄養素を補うことをおすすめしたいが、「おでん」の場合は意識してそうする必要はない。
鍋の中は、あらゆる栄養成分が揃った状態にあるからであり、しかも、日本人のほとんどが好きな料理の一つが「おでん」ではないだろうか?これにはかまぼこ類(天ぷら、ちくわ、すりみ、つみれ、ハンペンなど)がたくさん使われてる。
ごぼう巻きだと食物繊維が、野菜天のにんじんにはビタミンAがいっぱいである。
ビタミンAは油といっしょにとらないと体内に吸収されないのであるが、野菜天は油で揚げたものなので、非常によく吸収される。
また、つみれ、調味すりみ(いわし、さば、など)には血液、脳の働きをよくするEPAやDHAといった高度不飽和脂肪酸が豊富に含まれている。
そのうえ、おでんにはかまぼこ以外にも大根、こんにゃく、卵、厚揚げ、昆布巻きなどが使われ、それらの栄養素も加味されるので、まさにおでんは栄養の宝庫といっていいだろう。
食品というのは、元来、こういう風に組み合わせて食べると身体によい場合が多く、その種類が増えることで不足する栄養素が自然に補われていることが多いのである。
寒い日は家族で鍋を囲んで食べるのが一番であるし、その食卓の光景が一般的になったのは、調べてみると、日本の歴史の中ではそう古いことではないようである。
そもそも昔は、日本も身分制度が厳格であったために、夫と妻、親と子あるいは身分の高いものと低いものが一緒になって食事をすることはなかったようである。
日本の歴史上、最も古く鍋料理が書物に登場したのは1643年(寛永20年)の「料理物語」であるが、その書物によれば、当時は野菜を味噌の上で煮た鍋を炊事場から食卓へ運んで出していたようである。
日本の伝統食品である「かまぼこ」が初めて書物に出現したのが、1115年であるので、鍋料理が登場したのがそれから500年あまり後のことであると考えると鍋の歴史は比較的新しいということになる。
さて、おでんも、所により入っているものが大きく変わる。関東ではおでんの中に、ちくわぶ(ちくわでなくてちくわのような形をした麩)や練り物のすじ(牛すじではない)や白いハンペン、くじらのベーコンまで入っているが普通だが、舞鶴から東京に就職した私の同級生に聞くと、最初は驚いたし、なかなかなじめないでいたと言う。 それぞれの地域でたべるおでんの味にはその土地の文化と歴史が隠されている。 最近、おでんも、地域おこしの目玉になっており、静岡おでん、姫路おでん…..などという独特の地域のブランドおでんが誕生してきている。
ちなみに、10年あまり前に、ミツカンが実施した「家庭における鍋料理のトレンド」調査によると、なべの中で実施率がもっとも高かったのは、やはりおでん(85%)であったそうである。

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