うおづるくん 舞鶴のさかな 一般社団法人舞鶴市水産協会

舞鶴のさかなのガイドページです。
さかなの街舞鶴の魅力をご紹介します。

投稿者: maizurusakana

投稿日/2024年1月28日

舞鶴かまぼこの価格は高いの?  かまぼこ百科㉘

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこの価格は高いの?

最近、舞鶴のかまぼこも美味しいが高くなったと人によく言われるようになった。
しかし、ご年配の方ならよくご存知であると思うが、昔はかまぼこを一般の人が食べることができたのは、祭り、祝い事など、特別な日だけであったというほど、元々かまぼこは高級品だったようである。
かまぼこの製法を簡単に言うと、鮮魚から頭、内臓、骨、皮を除去して生肉だけをとりだして、洗って油脂分、血合いなどを取り除き、脱水してから少量の塩で魚のタンパク質を溶かして、成分調整したあと、成型したものを熱で固めるというものである。
100㌔もの鮮魚から得られるかまぼこの原料すりみは20㌔程度でしかなく、このように貴重なお魚のたん白質を贅沢にとり出して、つくりあげるグルメな加工食品というのは他に例がない。
昔は、全国の港でとれる鮮魚を使ってかまぼこ作りをしていたので、その地域で使う魚の特徴がそれぞれに出て、地方へ行くといろんな蒲鉾の味や食感を楽しむことが出来た。
しかしながら、近海漁業の衰退、魚資源の高騰から、だんだんと安定して地魚だけでかまぼこを作ることが難しい時代となってきた。その中で、潤沢な北洋資源であるスケトウダラが着目され、すりみ加工して冷凍して、全国流通させるという冷凍すりみの技術が確立されていった。糖を加えることで、魚肉タンパクの冷凍変性をある程度は防止できることがわかり、急速冷凍をすることで、氷結晶の増大を抑え、尚一層の信頼性を高めていったのである。これにより冷凍すりみ原料が全国に流通するようになり、冷凍庫さえあれば、原料は1年~2年は、ストックでき、いつでも、必要なだけ解凍して使うことができるようになった。
また、煉製品の製造機械の発展もめざましく、石うすからサイレントカッター、手付けから自動成型機、観音扉の蒸し庫から、自動蒸しラインへ、扇風機から自動冷却装置へ……..と、ある意味、大量生産が可能になってコストが下がってきたのである。
さらに、近年では、東南アジアでも、すりみ生産がおこなわれるようになると、スケソウダラ以外のいろんな魚種の冷凍すりみが世界中を冷凍で流通するように なっている。
ただ、すりみを生産するためには、前記の理由から、大量の鮮魚が必要になり、中国など東南アジアの諸国では乱獲が原因で、資源が枯渇しはじめている。
また、広く国民にかまぼこを食べていただくという事、かまぼこが消費者により身近になった点はよかったのだが、反面、地方の味が失われ、全国画一化が進むとともに、元々、味の弱いスケソウダラを使うことによる欠点を補うための調味料による不自然な味つけが流行りだし、本来の魚の風味に欠ける商品が氾濫するように なってしまった。
舞鶴では、「美味しいものは残していかなければいけない。冷凍原料に頼りきってはいけない。地魚を生(なま)で活用する技術は残すべきだ。」という先人の教えに導かれ、今でも伝統の製法を守ってかまぼこ作りをしている。 つまり、地魚や近海の鮮魚を一匹、一匹丹念に頭切りし、 内蔵を取り身を採り…….という作業工程を組合事業として共同化して残している。もちろん、大量に漁獲して送られてくる冷凍すりみと地元の鮮魚からつくられる生すりみとは、元の魚の価格も違うし、製造コストもかなりの差がでてしまうので、原料コストでかなりのハンディを背負っているのが『舞鶴かまぼこ』である。
しかし、安心、安全で美味しいとお客様に喜んでいただける間は、現在の製法をやめるつもりはない。

投稿日/2024年1月27日

かまぼこの表面がピンク色である理由  かまぼこ百科㉗

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこの表面がピンク色である理由

小中学校の社会見学でお越しになった生徒さんが、私ども見学にこられて、たくさんの質問をされるわけであるが、その中でも、高い確率でこの質問が出てくる。
古くから、日本人は、中国から渡来した紅染の技法とほんのりした色合いを深く愛してきた。紅花や紅については「万葉集」の中の相聞歌に多くみられる。古の男女の心をとらえた色が「紅花」であり、「紅」だった。また、淡い紅色が日本人に深く愛された要因の一つに、冠位や身分を示す青、赤、黄丹(きあか)、支子(くちなし)、深紫(こむらさき)などの「禁色 (きんじき)」<身分の低い人は使ってはいけない色>であったことだ。その禁色の赤だが、薄い紅色の赤は「許色(ゆるしいろ)」として使うことが許されていた。
そのくらい庶民にも長い歴史の間、好まれ、愛されてきた色であったわけである。
現在では、ハレの日の色は、紅白を主体としていることが多い。運動会、竣工式、起工式、祭り等々、紅白の幕がとことどころにみられるようになる。
ハレ(非日常という意味)の料理<日常の料理はケの料理という>には、むかしから紅白のかまぼこが使われていたし、節句料理の中でも正月料理として残ったおせち料理にも、おめでたさを表現するハレの料理として紅白のかまぼこが使われてきた経緯がある。
また、かまぼこの表面は染められているわけではなく、単に、食用色素を練り込んだすりみを薄く表面に薄く押し出しているだけのことである。よく見ると、かまぼこの表面には薄い紅色の層ができているのがわかる。
かまぼこの成形機から送り出される身を見ていると、その成形機の金型を変えることで、紅白のかたちを、中央から半分紅色で半分白色だとか、かまぼこの中央に金太郎あめのように模様のはいったかまぼこも作ることができる。
また、最近では、お祝いだけでなく、法事にもかまぼこが使われるが、さすがに 紅白のかまぼこでは気が引けるので、食用の若草色を使って、緑の塗り身で覆った蒲鉾も注文に応じて生産している。(白いかまぼこの表面に法事の図柄を入れた包装紙で包装している場合もある。)
北洋のスケソウダラは、かつては無尽蔵にある資源といわれたこともあったほど資源量も多く、価格も安価であったことから、これを冷凍すりみにする技術が開発されてから、全国のかまぼこ屋さんが、近海魚の加工をあきらめて、冷凍すりみを使ってかまぼこ製造をするようになり、さらに高度成長期には、各種の効率的な生産機械ができて、蒲鉾屋さんの生産能力が飛躍的に向上したことにより、かまぼこはかつてのような高級品から日常的な比較的廉価な加工品に変化してしまった。 つまり、ハレの食品からケの食品に変化しつつあるということになる。
しかしながら、昔ながらの製法を一部保持しながら、伝統を守り続けている舞鶴かまぼこは、廉価商品とは少し距離を置いて、あくまでも、地元の鮮魚を使った伝統の製法でかまぼこを作り続けている。どのような時代になろうと、おいしいかまぼこを食べていただけることこそが我々舞鶴のかまぼこ生産者の使命であると考えているからである。

投稿日/2024年1月26日

かまぼこはなぜ白いのか  かまぼこ百科㉖

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこはなぜ白いのか

ちょっと昔、かまぼこは、漂白剤を使って、表面を白くしているのではないかという疑惑がわき起こったことがあった。実際には、ほとんどの蒲鉾業者はまったく使用していなかったのであるが、当時、関東地区で製造していた浮きハンペンなどの「ゆでもの」には、一部殺菌の為に使われていたものがあったようである。(以後は使用禁止となり今では使われていない。)
かまぼこが白いのは、原料に白身の魚を使い、細かくした魚肉を水でよく洗う水晒(みずさらし)をするためである。
イワシ、サバなどの青背の魚や、マグロなど赤身の魚肉が赤い色をしているのは、ミオグロビンなどの筋肉色素を多量に含んでいるからであり、ミオグロビンや血液の色素ヘモグロビンは鉄を含んでいるたんぱく質で、加熱すると灰色にかわる。 魚の種類によって、ミオグロビン含量が違い、当然ながら赤身の魚に多く、白身の魚は少ない。普通の水晒しでは、こららの筋肉色素を完全に洗い出すことはできない。
このため、色素含量の多いイワシやサバなど、赤身の魚からは灰色のつみれや黒ハンペンのようにくすんだ色の商品しかできない。
したがって、板付きのかまぼこに、こうした赤身の魚を使うことはあまりない。
舞鶴で、いわしが大量に獲れた時期には、イワシの活用ということで、「イワシ蒲鉾」なるものも開発したことがあったが、健康ブームが去ると、やはり色がくすんだかまぼこは商品価値が低いためか、売れなくなった。
ただ、同じ白身の魚であっても、色素含量に多少の差がある。舞鶴かまぼこの命 とも言われているシログチという魚は、いくらよく晒しても真っ白にはならないが、スケソウダラやエソといった魚の身は晒すと真っ白になる。
水晒しには功罪があり、肉中の水溶性たんぱく質やエキス成分も洗い流されてしまうので、魚肉の成分の有効利用という面から考えるとマイナス面であるが、水晒しをすることで生臭さがとれたり、かまぼこの足 (=弾力)が強くなり、色が白くなるというプラス面がある。ただし、板ものはそうした白さが求められるのに対して、同じ練製品の天ぷら、ちくわではそのハードルが低く、多少色がくすんでいても商品価値が下がらないので、赤身の魚も一部活用することができる。
漁連など水揚げ後に、生鮮魚としての価値の低い魚(消費者になじみのすくない魚という意味であり、魚そのものの持つ価値やの鮮度や品質をいうものではない)も、水さらしをすることでかまぼこの原料として有効に利用できるようになるので、舞鶴のように、漁獲された魚を広い範囲で有効利用することができるすりみ工場を自らもっている地域は、これからの近海魚の有効利用という面からは、メリットが大きいのではないかと思う。
よく消費者から、かまぼこはどんな魚からでも作ることができるのですかという質問をお受けするが、基本的には、こうした理由から、品質や色合いの良し悪しは別として、どんな魚からでもかまぼこはできますとお答えするようにしている。

投稿日/2024年1月25日

舞鶴市民に愛されているかまぼこ  かまぼこ百科㉕

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴市民に愛されているかまぼこ

総務庁統計局の家計調査の一世帯あたりの練製品の年間支出金額(1997年調査)で、都道府県庁所在地別では多いところは仙台、長崎、山口、松江、高知、松山、和歌山、富山などの順番になっていた。
1番目の仙台を除けば、上位はすべて西日本の都市がしめており、西高東低のかまぼこの消費傾向がはっきりとしている。品目別でみると、揚げ蒲鉾(天ぷら、さつまあげ)では鹿児島が一番多く、高知、高松、大阪、和歌山など太平洋側で多い ようである。ちくわは鳥取が群を抜いて多く、徳島、松山、佐賀、熊本と続く。かまぼこは笹かまで有名な仙台が1位で、次いで富山、長崎、松江で消費が多いようである。京都府は残念ながらランキング上位には位置していない。だが、舞鶴市だけを調査した結果、驚くべきことがわかった。
平成22年に舞鶴蒲鉾協同組合が詳細な統計調査した資料によると、舞鶴市民が舞鶴かまぼこ(天ぷら、ちくわを含む)を消費している金額は、年間で1世帯あたり 13,838円であった。
全国平均で、同年の一世帯あたりのかまぼこ類への年間支出金額は 8,941円となっていることを考えると、この数字は驚異的であり、舞鶴市民がいかに舞鶴かまぼこを購入しているかが、数字の上でも明確になったわけである。
他に舞鶴以外の煉製品も消費されていることを考えると、舞鶴市民は他の地域では考えられないほどに、煉製品、特に舞鶴のかまぼこが大好きなのである。
もちろん、この金額は、一般に小売店で買って一家のおかずとして消費するものと、中元、歳暮などを中心に遠く離れた家族、親戚、知人などに贈られているものなどを合算したものである。
このことからも、家庭で消費するものの他に、市民が外部へ舞鶴名産品として発送したり、持って出たりする量も無視できないほど多いということが想像できる。
そう考えると、市民の舞鶴かまぼこに対する愛情と支援は非常にありがたいものであり、生産者としては品質で市民を裏切るようなことは決してしてはいけないのだということをあらためて痛切に感じるのである。
舞鶴市内には、ピーク時には30軒近いかまぼこ屋さんがあったというが、現在操業しているのは舞鶴かまぼこ協同組合の傘下組合員企業5社(嶋七、髙作、藤六、嶋岩、丸海)のみとなってしまっている。
しかし、少なくなったとはいえ、少数精鋭で、残った組合員企業は伝統の技術を継承する強い意思を持って、互いに切磋琢磨努力をする一方、舞鶴かまぼこ協同組合という組織を仲立ちとしながらも、非常に仲よく活動をし、月に数回集まり、情報交換をおこなったり、組合随一の酒飲みで知られる私を中心としたノミニケーションをおこなったりしており、「わが社さえよければ……」というような経営者が一人もおらず、共存共栄に腐心しているのも唯一の強みである。
舞鶴市では『舞鶴かまぼこ』が第一号の地域ブランド産品の認定を特許庁から受けることができたのも、そのあたりに原因があるのかもしれない

投稿日/2024年1月24日

商品紹介 「調味すり身」丸海食品謹製     かまぼこ百科㉔

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

商品紹介 「調味すり身」丸海食品謹製

当初は、すりみを加熱して製品として出荷している煉製品業者にとって、その素材であるすりみを生でそのまま消費者に提供するという思い切った発想で商品化したものが、この調味すりみシリーズであり、丸海食品㈱が製造している。社長は 若村和重氏(昭和14年生まれ)であり、今や組合員の中では最長老となった。
魚肉は、すりみにすると、普通は“すわり”という現象をおこして、元々すりみが持っていたねばりと加熱したときに弾力をつくる能力がそこなわれてしまう。(タンパク質が変性をおこすからである。)
ある程度の時間が経過しても、“すわり”の現象の進行を抑えて、家庭ですりみを料理素材として活用していただくというのが当初の目的であった。
“すわり”現象にすりみがやられないうちは、野菜と混ぜ合わせたりして、油で揚げれば、アツアツの野菜天ぷらの味を楽しめたりするのだろうが、この商品は、あくまで“鍋”をターゲットにしており、このままの形で、鍋の中に落すと、工場でできあがったばかりのつみれの味も楽しむことができる。
関西地区は、関東地区と比較すると、このつみれを食べる習慣が少なかったが、最近、鍋もいろんなものができて、その味付けも、鍋に入れる素材もバラエティに 富むようになった。
従来の和風のものから、中華風、洋風、エスニック風と味そのものも色々と楽しめるようになった現在、その中に入れる具材の種類もどんどん増えてきている。
調味すりみシリーズでは、イワシ、アジのような色はやや黒いが、旨みの強いすりみもあり、タイやハモのように、淡白だが色の白いすりみもあり、寄せ鍋をしても、それぞれの魚の味がして、美味しい。
なによりも、魚の骨を取る必要もなく、そのまま丸ごと食べれるというのもありがたい。
特に赤身の調味すりみには小骨がまるごとすりつぶされて入っているので、無理なくカルシウムも多く摂取することができるので、育ち盛りの子供にはたくさん食べさせてあげたい。
我が家でも、寒い冬の鍋料理には欠かせないアイテムとなっている。
こうした調味すりみは、多少、ねばりと弾力を失ってタンパク変性を起こしているので、鍋に入れて加熱をすることで、かえって繊維がばらけたような状態になり、ちょうどカニ身のような状態になり、中に出汁をたっぷり含んでくれるので、これはこれで、考えようによっては美味しい。
一時は、絞りだしの袋に入れて、家庭で鉄板の上に絵や文字を絞り出し、焼いて食べる子供向けの遊びのような商品も開発したこともあったが、残念ながら定着することはなかった。
かまぼこ屋さんたちのアシ (=弾力)を重視する考えからは、こうした商品はうまれなかったのかもしれない。
実は、生すりみをこのような形にして、チルドで流通させたのは、おそらく丸海食品が日本初であった。商品を発売してから、単品で1億円商材になったこともあり、当時は、久しぶりに舞鶴からヒット商品が生まれたと大喜びしたのであった。

投稿日/2024年1月23日

商品紹介 「焼きの極」髙作謹製  かまぼこ百科㉓

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

商品紹介 「焼きの極」髙作謹製

『焼の極(やきのきわみ)』は、第61回全国蒲鉾品評会(平成21年)で、水産庁長官賞を受賞したことで一躍有名になった。
さらに、大阪で実施された第60回全国水産加工たべもの展 (平成23年)でも、みごと水産庁長官賞を受賞し、舞鶴では数年の間に同じ商品が二度も長官賞を受賞した例はない。
この焼板は実に美味しい。生産者は舞鶴でも独特の製法で知られる“髙作”であり、店主は髙野真一氏(昭和32年生まれ)である。
彼は、自分で何台もパソコンを組み立てたり、会社や家屋のちょっとした改造を自分でしたりと、たいへん器用なところもあり、自然科学などに対する造詣も深く、かまぼこ屋の主人とは思えないような知識を披露し、その場を驚かせたりすることが多い。
数年前、私が、市内の宮前町界隈の飲み屋さんではしご酒をしていると、おつまみにこのかまぼこをカットしたものがでてきたことがあったが、それを食べたとき、乾いたオカキやスルメでなかったので、かえって新鮮で、手前勝手ながら、やっぱり『焼の極』は美味しいものだといたく感動した思い出がある。
表面を焼くことで、すりみの火ぶくれした少々厚めの皮ができ、それが少し歯にあたって香ばしい。また、それを突き破って下の身に歯が到達すると、こんどはソフトでしなやかな雑味のない透き通った味覚が感じられ、それが皮の香ばしさと一体になってのどに送られる。食べるとそんな表現がぴったりのかまぼこである。
髙作はこのシリーズ第二稿でも述べたが、現存の舞鶴のかまぼこ屋さんの中では、もっとも古く、創業は江戸時代というからすごい。
しかしながら、古い歴史とは別に、絶えず新しい技術を取り入れて製造しており、伝統の技術をうけつぎながら、近代化も同時に進めている。これが、老舗の老舗たるゆえんなのかもしれない。
特に、練成工程では、舞鶴の他のかまぼこ屋さんの多くが、サイレントカッターを使用している中で、いち早くボールカッターに切り替え、真空、高速などの条件を加えることで、きめ細かく、みずみずしい食感をうみだすことに成功している。
髙作は、家族中心の個人商店であり、規模はそれほど大きくはないが、近年、舞鶴市魚屋に新工場を建て、4人の子育てをし、PTAやロータリークラブなどの活動にも積極的に参画しながら、かまぼこ生産に励んでいる。
平成20年に舞鶴蒲鉾協同組合の理事長であった嶋田正男氏が亡くなった後、髙作の店主である髙野 真一氏が舞鶴かまぼこ協同組合(平成24年に社名変更)の理事長となり、日々、舞鶴かまぼこの発展のために努力している。
話はそれるが、髙野真一氏の父親で先代の故髙野利夫氏(平成8年没) はかまぼこ製造中にサイレントカッターで誤って指を落とし、煉り肉の中から自分の指をさがし出し、それを氷漬けにして自ら病院に行き、治療を受けたという気丈な方で、業界では有名な話である。むろん、髙作に限らず、かまぼこ屋さんには他にも武勇伝をもった気丈な人が多い。

投稿日/2024年1月23日

商品紹介 「海峰」「かに物語」  かまぼこ百科㉒

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

商品紹介 「海峰」「かに物語」

海峰(かいほう)は、昨年、東京で開催された第63回全国かまぼこ品評会(審査会)において、みごと、水産庁長官賞を受賞した舞鶴の誇る板かまぼこである。
この商品は舞鶴では㈱嶋七で製造、販売されている。㈱嶋七の社長は嶋田克己氏(昭和44年生まれ)であり、非常に若い社長であるが、妻の嶋田典子さんと共に、水産の最高学府といわれる東京海洋大学を卒業している。
嶋七のこのかまぼこには、選別された最高の鮮魚が使われている。
その鮮魚の頭を取り、内臓を除去し、綺麗に洗ったあと、採肉機にかけて、魚肉と骨、皮を分離し、魚肉をさらに水にさらして、血合い、夾雑物など水溶性のものや上に浮いた脂などを捨てて、脱水することで、色の白い身ができあがる。
これに塩を加えてねばりのある肉糊にしてから、調味料、卵白、みりんなどで味付け調整したのち、板の上に成型して蒸しあげていく。(弾力を引き出す為に、2段階の温度で丁寧に蒸しあげる。)といった非常に手間のかかる製法で作りあげられたのが海峰(かいほう)である。
材料にこだわっているので、少々高価かもしれないが、舞鶴かまぼこのシコシコとした弾力とみずみずしさを持ち、透明感のある切断面をもった贅沢な味をぜひ一度賞味していただきたいと思う。
年末にかけて、全国からたくさんの注文が入り、出荷が集中するため、早めのご注文をいただけるとありがたいとのことである。
また、今月6日に解禁となった舞鶴ガニの姿をあしらった「かに物語」は、舞鶴では嶋七のみで製造されている。製法は、まず、かにの甲羅の内側からカニ本来の天然色素を塗って色をつけその中に、贅沢にも”かに”の生肉と“高級すりみ”をブレンドした身を手で詰めて、板にのせて蒸しあげるというものである。
まさに、すべて手作りの商品であると言えるだろう。
主に、この商品は、通信販売による受注生産が中心であり、手作りなので、当然できる量にも限界があり、年末の繁忙期などには注文に応じられない場合もあるという。
高級材料であるかにの正肉と、最高級のかまぼこの身とミックスしたものは共に海からの生物の原料であり、非常に相性が良く、お互いの特徴を保ちながら融合しているかのような食感と味をもっているといえよう。
そのまま食しても、手巻き寿司の具や、サラダにいれてもおいしさ抜群であるが、 私は酢の物の中に一緒に刻んで入れて、酒の肴として食べるのが最も美味しい食べ方だと思っている。嶋七のホームページは社長婦人である嶋田典子さんが運営をしており、手作りで非常に充実したサイトになっているので、ぜひ一度訪れてほしい。(ホームページアドレスは http://shima7.com/)

投稿日/2024年1月22日

商品紹介 じゃこだらけ、ほたて天(嶋岩謹製)  かまぼこ百科㉑

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

商品紹介 じゃこだらけ、ほたて天(嶋岩謹製)

『じゃこだらけ天』は、じゃこを骨ごとつぶして製品化している商品で、舞鶴では嶋岩でしか作られていない。㈱嶋岩は明治時代創業の会社であり、社長は嶋田宗昭氏(昭和32年生まれ)である。
商品のネーミングとおり、原料としてじゃこを多用している商品であり、じゃこといえば、舞鶴ではカタクチイワシの子供をさしていうのが通常であるが、この天ぶらの材料は、ホタルジャコ (四国地区ではハランボと呼ばれている。)という小魚である。

最近では、嗜好の変化から、煉製品も色の白いものが好まれる風潮になっているが、実際には白身の魚だけでなく赤身といわれる魚もいて、赤身の魚を原料とした煉製品の色は、灰色あるいは黒っぽい色になってしまう傾向が強い。
ただし、こうした色の黒い傾向の商品は概ね、食感が脆かったり、白身のそれに比較するとしなやかさに欠けたりするのだが、栄養面では、高度不飽和脂肪酸(EPA、DHAなど)といわれるような身体によい成分を豊富に含んでいる。
特にすりみにする際の水晒しを抑えて、魚の味を強く引き出すことを目的としているために、食感はややしなやかさに欠けるが、一部、小骨ごと魚の身がミンチされて、製造に使われているので、魚由来の栄養価も非常に高いし、カルシウムも豊富である。
ホタルジャコの身は赤身と白身の中間色をしており、これを使用した商品は、どちらかというと、揚げたあとの外観も、白身魚のすりみを揚げたようなキツネ色といわれる褐色系ではなく、灰色系の色調をしているのが特徴である。
元々、じゃこ天は四国の八幡浜地区を中心とした名産品として有名になってい るが、個人的には舞鶴の嶋岩製のじゃこ天のほうが、食感がソフトで、旨味もあり、 塩気も少なく食べやすいと思う。
よく市内の某スーパーで揚げたての温かいじゃこだらけ天を販売しており、うちの妻がたまに買って帰って、すこし表面を焼いて、大根おろしを添えて出してくれるが、本来の魚の風味がして非常にうまいので、私の好きな酒の肴のーメニューに加えることが多い。
ちなみに青森産のホタテを天ぷらに練りこんだ嶋岩の『ほたて天』は平成23年度全国水産加工たべもの展で、大阪府知事賞を受賞した。
ホタテのうま味と魚肉のうま味がミックスされていて、美味しく、しかもホタテ貝柱の繊維が口の中でほどよくばらける食感が非常に心地よい。
だが、受賞したとたんに、東北大震災がおこり、三陸の海産原料は壊滅的な打撃を受けたため、ほたて天に使用していた安価で品質のよいホタテ原料が確保できなくなった。このため、一時は注文に応じられなくなったが、東北の復興とともに、品薄状態も解消されてくるので、再び、たくさんの市民の口に入るようにと願っている。

舞鶴のさかな食べ処・買い処マップ2023~2024秋冬版はこちら! 

舞鶴のさかな食べ処・買い処マップ2023~2024【秋冬版】はこちらです。

(表面)

 

舞鶴のさかな食べ処・買い処マップ2023~2024【秋冬版】は、こちらをクリックするとPDFでご覧いただけます。また、「舞鶴市ふるさと納税返礼品」サイトのリンクを掲載しています。

(中面)

※中面のPDFファイルは、お店をクリックすると水産協会HPの各店の紹介ページにジャンプし、より詳しい情報をご覧いただけます!

投稿日/2022年3月16日

シイラのレシピを考えよう~レシピ編~

中筋小学校6年2組の児童たちが、前回の調理実習をもとに、シイラのレシピを紹介する動画を作ってくれました。

とりくんだきっかけを紹介

シイラのムニエル トマトソース(2月の給食になった)

シイラの竜田揚げ

シイラの唐揚げ

シイラのカレーフライサンド

シイラの照り焼き

シイラのチーズ乗せ焼き

シイラのガリバタソテー

全ての動画をまとめて見られる再生リストはこちら

中筋小学校6年2組のみなさん、素晴らしいとりくみをありがとうございました!

ぜひレシピを参考に、舞鶴のおいしい魚・シイラを食べてみてくださいね!

 

Page top