うおづるくん 舞鶴のさかな 一般社団法人舞鶴市水産協会

舞鶴のさかなのガイドページです。
さかなの街舞鶴の魅力をご紹介します。

カテゴリー: コラム

投稿日/2024年2月5日

海外かまぼこ事情 韓国編③  かまぼこ百科㉟

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

海外かまぼこ事情 韓国編③

李氏は、日本には3度(福岡、宇部、東京?) 来ており、Y社にも機械の買い付けに行ったことがあると話をしてくれた。私はY社の機械カタログも取り寄せて持参していたが、悲しいかなこの時点で、そのカタログもすでに用がなくなったことを認識した。
車の中で、これから3日間のスケジュールを書いた紙を渡され、いよいよ緊張感が高まってきた。一番心配なのが、カニ足ラインなど、自分がかつてかかわったことのない製造ラインなどについては細部にわたっては指導ができないだろうという事だった。
N氏とはこの点で、打ち合わせ、はっきりと専門外であることを彼らに言ってもらうことにした。結局、自分が過去にやったことのあるソーセージライン(レトルト)と揚げかまぼこライン、クリーンルームなどの現地指導をすることにした。また、事前にメールで寄せられていた質問事項にも答えなくてはならない。
しかも、質問の中に書いてある言葉の意味がつかめないものがたくさんあって、 レポートの3分の1は空白のまま韓国に来てしまったこともあり、不安が倍加し ていったのである。極度の緊張感と、それにも増して、昨夜から腰痛がひどくなりはじめ、車からの乗り降りの際に腰に激痛が走り、自分でも集中力が欠くのを感じた。
中塚氏がもし、今回一緒に来てくれなかったら、私は仁川空港到着の時点ですでにバッターアウト!のようなものだったろうと想像する。
工場から、ホテルまで運ばれ、ここにいったん大きな荷物を置いたあと、いよい よT社の工場に向かうことになった。工場へ行くまでの道は、セントラルパークのような美しい公園の池のまわりを回っている道路(休日には外国から来た人であふれる観光地らしい)を通って、わざわざ遠回りして、工場まで連れていってもらった。
公園近くの道を抜けると、また幹線道路に出て、工場までの道はまた、広々としてきた。ここソウル近郊の道路は非常に広くゆったりと作ってあるので、道路はみな高速道路に思えてしまうくらいであった。また、行き交う自動車も、日本車こそ少ないものの、その大きさや形態は日本車と似ているため、車が右側を走ることに違和感こそ感じたが、それ以外はまるで日本のハイウエーを走っているのと同じであった。
相変わらず車の中で、案内人の李さんは中塚氏といろいろとコミュニケーションを繰り返して、気心が合ったようで、笑顔で語り合うまでになっていた。
しかも、工場に着いて、目の前にそびえたっている五階建ての巨大なビルが、その工場だとわかったとたん、軽いめまいがした。「こんな大規模な工場にこれから入り込んで、私は彼らにどんな指導ができるのだろうか?」という不安と、おそらく主力になっているかもしれないカニ足ラインについての詳細なノウハウを持ち合わせていないことの不安が重なり、中塚氏の笑顔をよそにどんどんと顔がこわばってくるのを感じた。

投稿日/2024年2月4日

海外かまぼこ事情 韓国編②  かまぼこ百科㉞

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

海外かまぼこ事情 韓国編②

とにかく、無事出発すると、遅い昼食は早速、機内サービスのお弁当となり、壁面のテレビで現在飛行している位置を確認する。
その後瀬戸内海をしばらく横切っていたと思うと途中で北上し、島根あたりの上空から日本海にはいった。もちろん画面モニターは日本海でなく東海(イーストシー)と表記されてる。ふと現地でこうした話題から日本人と韓国人とのちょっと した感情のもつれがないことを祈る気持ちになった。
到着時間が1時間遅れて、現地で空港に迎えにきてくれているスタッフは待ちぼうけをくらってるんじゃないかと心配するが、中塚氏は心配しなくても現地にすでに遅延の情報が行っているだろうというのでいらぬ心配はしないことにした。
韓国のソウルの仁川国際空港は、ちょうど関西空港のようにひとつの島になっているが、空港の広さは関西空港とは比較にならないほど広かった。
ちょうど大阪の伊丹空港に相当するのが韓国の金浦空港であり、関西空港に相当するのがこの仁川空港である。ようやく韓国に着陸し、空港出口に向かい英語の名前の書いたプラカードを差し出している人が10人ほどいたので、自分たちの名前の書いたカードを持っている人を探す。ずーっと目を人の列にそって流していくと、あったあった。
Mr.Tsuji のプラカードを差し出している人を発見!なんと挨拶したらいいのだろうと思っているうちに、中塚氏が流暢な英語で話しかけていた。航空便が遅れたのでお詫びと迎えのお礼を言っているのはわかった。
車にのってソウル市内まで約1時間近く高速道路を走る中、名刺交換し、彼が李さんという研究員であることを知る。その上で、自己紹介をし、中塚氏が最初に”(辻さんは英語が喋れません)Mr.Tsuji can not speak English”と私が日本語しか話せないことを伝えた。
そのため、それ以後の会話は李さんと中塚氏だけの会話となり、私は完全に部外者となり、なんだか寂しい感じもした。「俺だって、10年近く学校で英語を習ってきたのに…….」と日本の英語教育の貧弱さをつくづく感じしてしまった。
中塚氏は、大阪大学の工学部を卒業しているが、別に英語に関して私とは違う特別のことをしたわけでもないのに、この差(喋れるのと喋れないの差)はどこからきているのかが気になって、後で聞いたのだが、彼は神戸に生まれ育ったせいで、 幼少のころから外国の人との交流が多く、外国語を喋ることに抵抗がなかったし、 学生時代に英会話のサークルのようなものにも加入していたことがあると聞き、納得した。
とにかく、社内の会話を隣で聞いていて、李さんの年齢が33歳で、親兄弟と高速道路沿いのマンションに住んでいて、会社までの通勤に毎日2時間かけていることがわかった。したがって、彼は独身であることもわかったのである。

投稿日/2024年2月3日

海外かまぼこ事情 韓国編①  かまぼこ百科㉝

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

海外かまぼこ事情 韓国編①

平成19年6月4日 関西空港から韓国ソウルにむけて飛び立った。
今回私が会社の有給休暇をとってまで、韓国へ飛ばなくてはならなくなったかについて、少しだけ触れておこう。
韓国の大手企業であるT社では現在の自社の練り製品の付加価値をたかめたいという思いがあり、品質向上と生産技術などにアドバイスしてくれる人間を探していたらしい。日本でその技術者を探していた韓国企業の最高責任者がB常務であり、実は彼が以前、別の会社に勤務していたころ、丸大食品の研究所長であったS氏と親交があったため、丸大食品に技術者派遣の相談にこられたらしい。
しかし、丸大食品は現在、その韓国企業とは取引関係にないため、社内から人を派遣することはできず、S氏にとって、最初にひらめいた人間が、たまたま、かつての中央研究所時代の後輩でもあり、現在もかまぼこ組合という練り業界に在籍している私という人間であったというだけのことである。
ダイレクトに携帯電話にてこの話を受けた時には、「わたしで指導できるようなことなのだろうか?どういった点が技術的に問題になっているのか?」と尋ねたが、はっきりせず
「とにかく一度来て、見てほしい」というレベルの話であった。雲をつかむような話だったし、最初はお断りしたが、また再度連絡がはいり、「具体的に問題を提起するので、その点を解決するために来てもらえないか」との話になってきた。
とにかく、語学も達者でないし、食品加工技術といっても、もう技術者としての最前線から離れて10年以上も経過している以上、私一人では不可能であると再度断った。
これでもう話は流れたと思っていたら、今度は「食品コンサルの中塚氏とだったら一緒に行ってくれるか?」ということだったので、そこまで必要とされているのならということで、とうとう「中塚氏が同行してくれて、韓国企業との交渉窓口になってくれるなら行ってもいい」と返事をしてしまったのだった。
以後、中塚氏が私のメールを英語に翻訳して韓国企業に送ってくれたり、私のかわりにB常務とも東京で直接に会っていただいて、今回の韓国企業のニーズの把握や、韓国へ行くための段取りをすべてしていただいたのである。ここまで彼にお世話になって、行かないというのも悪いし、もう後へはひけなくなったのであった。
出発一月前になってはじめて、事前質問の用紙がメールで送られてきた。思った以上に難問も多く、それから数週間は仕事から帰ると家でもレポート作成や資料集めにかなり時間を割いた。

投稿日/2024年2月2日

舞鶴かまぼこの全国品評会での成績  かまぼこ百科㉜

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこの全国品評会での成績

舞鶴かまぼこの品質を客観的に評価することのできる全国品評会にも、弱小零細といわれる5軒で構成される舞鶴かまぼこ協同組合の組合員であるかまぼこ屋さんが、ずいぶん過去には出品していたが、途中からなんだかんだと言って挑戦するのをやめてしまい、数十年審査に出さないようになってしまっていた。
ところが、当時、京都大学の教授であり、審査委員長になっておられた牧野段先生が、講評で「審査に出てこない地域の商品にもたいへん品質のよいものもある。例えば舞鶴地区のかまぼこもそのひとつ…….」というような舞鶴かまぼこに触れた内容を業界紙に書かれたことから、やっぱり、賞はいただけなくても、審査に出して評価を受けようという機運がひろがり、かまぼこ屋さんの店主世代交代を機会に、全組合員で品評会に商品の出品を再開したのである。
もちろん、その頃には牧野段先生は京都大学を退官され、審査員のメンバーも少し変わってしまった(現在の審査員 水産大学特任教授 福田 裕氏/東京大学大学院教授 渡部終五氏/東海大学教授 加藤登氏/中央水研主幹研究員 金庭正樹氏/国学院短大客員教授 鈴木たね子氏など、そうそうたるメンバーである。)が東京で、年1回おこなわれる全国蒲鉾品評会において、舞鶴の組合員から出品した商品がすべて入賞するという快挙をなしとげることとなった。知らぬうちに舞鶴かまぼこの品質レベルは高くなっていたのだという自負と喜びが、組合員だけでなく組合の職員にまで力を与えてくれる結果となったのである。
この数年の全国品評会、全国審査会などでいただいた賞を次にご紹介しておきたい。

2009年 春 第58回全国水産加工たべもの展
大阪府知事賞    御蒲鉾     嶋七
大阪府知事賞    鯵竹ちくわ   丸海

2009年 冬 第61回全国蒲鉾品評会
水産庁長官賞    焼の極     髙作
水産庁長官賞    おらんだ    藤六
大日本水産会会長賞 御蒲鉾     嶋七
全蒲連会長賞    まいづる(紅白 嶋岩
全蒲連会長賞    竹ちくわ     丸海

2010年 冬 第62回全国蒲鉾品評会
沖縄県知事賞    舞づる(紅白) 嶋七
沖縄県知事賞    練の極     髙作
沖縄県知事賞    藤の花     藤六
全蒲連会長賞    上大(塗)    嶋岩
全蒲連会長賞    竹ちくわ     丸海

2011年 冬 第60回全国水産加工たべもの展
水産庁長官賞    焼の極     髙作
大阪府知事賞    おらんだ    藤六
大阪府知事賞    ほたて天    嶋岩

2011年 冬 第63回全国蒲鉾品評会
水産庁長官賞    海峰(白)   嶋七
大日本水産会長賞   練の匠      嶋岩      かまぼこ 髙作      藤の花(白)  藤六
全蒲連会長賞     ちびくろ(9本入り) 丸海

2012年冬 第64回全国蒲鉾品評会
東京都知事賞    練の極     髙作
大日本水産会長賞  御蒲鉾(焼)  嶋七      藤の花 (塗)  藤六      上大(塗)    嶋岩

2013年 冬 第65回全国蒲鉾品評会
水産庁長官賞    おらんだ    藤六
神奈川県知事賞   練の極     髙作

投稿日/2024年2月1日

舞鶴おでんにご支援を!  かまぼこ百科㉛

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴おでんにご支援を!

舞鶴市の新しいご当地グルメとして、昨年の夏にデビューした「舞鶴おでん」であるが、舞鶴の練り製品業者、農産物生産者、こんにゃく製造業者、水産加工業者、行政、印刷業者など、様々な分野の市民メンバーから構成される「舞鶴おでん会」 がその啓発母体となって活動をおこなっている。
会長は、レストランととやなどを経営している齋藤友幸氏(現;舞鶴観光協会会長)である。不肖、わたくしも副会長を務めさせていただいている。
舞鶴おでんは、舞鶴伝統の「じゃこ(煮干し)だし」、特産の平天、棒天、いわしちくわ、豆腐団子、カニ物語など地魚をつかった「水産練り製品」、最近復活した煮物に最適な京野菜「佐波賀だいこん」、地元のこんにゃく屋さんが開発した「わかめ入りそーめんこんにゃく」、地元産の高品質の鶏卵などを具材として利用している。
舞鶴地域はもともと、煮物料理に適した食材の宝庫であるため、「舞鶴おでん会」がこれを生かすメニューを開発して、全国に広めて、地域活性化につなげようという思いから、こういう活動をはじめたのである。
また、舞鶴おでんのロゴマークも全国公募をして、親しみやすいデザインを選んだ。現在、市内の料理店で舞鶴おでんの掟(おきて)にしたがったおでんを出されるお店には、舞鶴おでんの認定店として有料で幟(のぼり)と認定証を配布させていただいている。
また、おでんは、秋から冬に食べるものという固定観念を打ち破るために、夏に冷やして食べる“冷やしおでん”の開発も行い、今年9月1日に赤レンガパークで実施された“総おどり”会場にて、テスト的に試売して、好評を得た。
舞鶴おでん会は、ちょうど先月、姫路で開催された「全国おでんサミット」にも初出場し、全国の有名な7おでん会に挑戦状をたたきつけてきた。
まだ、全国的に名前を知られていないはずの「舞鶴おでん」ではあったが、1200食近くを完売して、十分に手応えを感じて帰ってきたのである。各地域、出汁にこだわり、中の具材の地方色にこだわる中、舞鶴おでんも地方色を出して、おおいに健闘した。
舞鶴でも、全国大会を誘致し、こうした数万人規模の集客イベントを開催することができれば、不定期ではあるが、市の流動人口を増やすことができ、地元商店街をはじめとする地域活性化につながるはずである。
また、一方で、こうした舞鶴おでんをなかだちとした地域おこしのような運動が認められ、最近、舞鶴おでん会が、NHKの密着取材をうけることになり、12月19日午後9時より1時間番組で全国放送されることとなった。(NHKBS“めざせグルメスター”)
いずれにしても、地元の素材のみでつくる舞鶴おでんは、味の面、品質の面で他所のおでんにひけはとらない。
今後も、舞鶴市民の温かい応援をお願いしたい。

投稿日/2024年1月30日

かまぼことお酒  かまぼこ百科㉚

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼことお酒

わたしは大学でかまぼこの分野でドクターを取得したわけでもないのに、最近、舞鶴市民の多くの方から「かまぼこ博士」という称号をいただいて、親しまれるようになってきた事は非常に光栄なことであるが、同業者あるいは、私のことをよく知っている友人、知人、先輩、後輩方に私のことについて聞いていただくと、かなり高い確率で、かまぼこ以外に“酒”がキーワードとして出てくるのではないかと思っている。
恥ずかしい話ではあるが、それほど、私は酒に関するエピソードに事欠かない経歴(=武勇伝あるいは懺悔記録)をもっている。
酒もいろいろあり、ビール、焼酎、泡盛、ワイン、日本酒、紹興酒、ウイスキー、バーボン、ウオッカ、テキーラなどなんでも呑むが、やはり食べるものに合わせて 酒を選んでいることが多い。
中華料理を食べるときは、紹興酒が多いし、肉料理を食べるときはワインが多い、しかし魚の刺身を食べるときだけはどうしても日本酒でないと、美味しく食べた気がしない。
したがって、魚を原料にしたかまぼこをそのまま生で食べるときも日本酒が 一番あうはずだと思い込んでいる。
日本酒は、酒としては味はそれほど強烈ではないが、一般に蒸留酒とくらべると、ほんのりとした甘味とうまみを持っているので和の料理の味を壊すことがない。
刺身を食べる際に、しょうゆをつけて口の中にいれ、食べながら日本酒を呑め ば、しょうゆの辛さがまろやかになり、酒が魚の味をさらに引き立ててくれる気がする。
一時、焼酎ブームで、焼酎を片手に刺身を食べたが、しょう油の辛さが酒の辛さで倍加されてしまい、せっかくの魚の味が損なわれてしまい、がっかりしたことがある。
中華料理などは、紹興酒を呑みながら食べると、食欲も増すし、中華の油がさほどしつこく感じなくなるし、第一に二日酔いになりにくい。一度、中国へ行き、現地で中国人の方と紹興酒を呑んで中国人を降参させるほど呑んだこともあるが、翌日は本当に何もなかったように元気で商談をすすめることができた。
また、かまぼこをカルパッチョ風に仕上げて、オリーブオイルなどをかけると今度はワインがあうようになってくる。おでんにしたりして温かい料理にすると、今度はビールがあうようになってくる。オードブル形式にしてチーズを挟んだりすると、こんどはウイスキーや焼酎などの蒸留酒があうようになってくるような気がする。私は料理評論家でも何でもないのだが、このようにかまぼこは料理方法ひとつで、いろんな酒と相性がよくなる不思議な伝統的加工食品といえるだろう。
とにかく、料理が酒を選び、酒が料理を選ぶ……それほど、酒と料理は人を幸せにしてくれるものである。
話がかまぼこから逸れてしまったが、かまぼこも過去には「板わさ」という定番の居酒屋メニューがあったのだが、現在はだんだんと姿を消しつつあり、非常に淋しい。
「板わさ」には日本酒と相場が決まっていたが、最近、居酒屋でも日本酒を呑む日本人の数が減ってきているように思う。どうも、かまぼこと日本酒はお互いに頑張らないといけないようだ。

投稿日/2024年1月29日

かまぼこを冷凍してはいけない理由  かまぼこ百科㉙

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこを冷凍してはいけない理由

基本的に、家庭の冷蔵庫についている冷凍保管庫で保管することは避けてほしいと思う。家庭用のものでは凍結速度が遅くて、組織内部で大きな氷の結晶ができて、その氷の結晶が大きくなって組織を破壊し、解凍したときに水を組織内に吸収しきれなくなり、大量のドリップを吐き出し、かまぼこがスポンジ化するからである。
かまぼこの凍結点は水分や、砂糖含量によって違うが、だいたいマイナス4℃からマイナス7℃くらいである。マイナス10℃になれば、かまぼこの水のほとんどが氷に変わる。マイナス10℃までの冷凍速度が急速であればあるほど、かまぼこ内にできる氷の結晶が小さい状態で凍り、解凍したときのドリップを少なくすることができる。
しかし、かまぼこのように肉厚の製品を超急速凍結すると、かまぼこの表面がひび割れし、場合によってはかまぼこ全体が割れてしまいう。
水が氷に変わる際にはその体積が約8.7%膨張するので、かまぼこを凍結するとその体積が増加する。超急速凍結するとかまぼこ表面が瞬間的に凍って、氷の非常に固い殻ができてしまう。表面の氷の殻が内部が凍って体積膨張するのを抑えるので、かまぼこ内部に大きな圧力が発生してしまうことになる。
表面の氷の殻がその圧力に耐えられないで壊れると、かまぼこ表面にひびが入るのである。
ひび割れ防止には中心温度がマイナス10℃になったら凍結を止め、マイナス15℃付近の低温に置いて内部温度を平均化する。そうすると、かまぼこ表面の冷気が内部に伝わって表面と内部の温度差が小さくなるので内圧が大きくならず、ひび割れしないのである。
いったん冷凍したかまぼこは、一般の食品と同様に、貯蔵温度が低いほど品質の低下は遅いのである。したがって、保管温度は低ければ低いほどよい。かまぼこの足の弱いものほど、貯蔵期間のドリップの比率は高く、弾力が低下してスポンジ化が進みやすくなる。また、みりんをたくさん入れたかまぼこは冷凍期間が長いと保存中に、みりんの中のブドウ糖とアミノ酸やタンパク質が低温でも反応して、化学反応をおこして、全体が褐色化していく場合もある。
かまぼこを急速冷凍するためには、その設備に莫大な資金がかかることもあり、舞鶴では生産者がかまぼこを冷凍することはないが、小田原地区のように、年末の首都圏の膨大な需要にこたえるために、かまぼこを冷凍貯蔵して、需要が多いときに解凍して出荷する技術とノウハウを持っている地域もある。
冷凍するのにも、そこに難しいノウハウが必要になってくる。まして家庭用の冷凍庫のような緩慢な冷凍条件では、かまぼこの品質を維持することは不可能である。
ちくわ、てんぷらなどの比較的厚みのない練り製品については、冷凍による品質劣化はかまぼこと比べると少ないのだが、劣化が無いとは言えないので、美味しく召し上がっていただくためには冷凍はしないほうがよいだろう。

投稿日/2024年1月28日

舞鶴かまぼこの価格は高いの?  かまぼこ百科㉘

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

舞鶴かまぼこの価格は高いの?

最近、舞鶴のかまぼこも美味しいが高くなったと人によく言われるようになった。
しかし、ご年配の方ならよくご存知であると思うが、昔はかまぼこを一般の人が食べることができたのは、祭り、祝い事など、特別な日だけであったというほど、元々かまぼこは高級品だったようである。
かまぼこの製法を簡単に言うと、鮮魚から頭、内臓、骨、皮を除去して生肉だけをとりだして、洗って油脂分、血合いなどを取り除き、脱水してから少量の塩で魚のタンパク質を溶かして、成分調整したあと、成型したものを熱で固めるというものである。
100㌔もの鮮魚から得られるかまぼこの原料すりみは20㌔程度でしかなく、このように貴重なお魚のたん白質を贅沢にとり出して、つくりあげるグルメな加工食品というのは他に例がない。
昔は、全国の港でとれる鮮魚を使ってかまぼこ作りをしていたので、その地域で使う魚の特徴がそれぞれに出て、地方へ行くといろんな蒲鉾の味や食感を楽しむことが出来た。
しかしながら、近海漁業の衰退、魚資源の高騰から、だんだんと安定して地魚だけでかまぼこを作ることが難しい時代となってきた。その中で、潤沢な北洋資源であるスケトウダラが着目され、すりみ加工して冷凍して、全国流通させるという冷凍すりみの技術が確立されていった。糖を加えることで、魚肉タンパクの冷凍変性をある程度は防止できることがわかり、急速冷凍をすることで、氷結晶の増大を抑え、尚一層の信頼性を高めていったのである。これにより冷凍すりみ原料が全国に流通するようになり、冷凍庫さえあれば、原料は1年~2年は、ストックでき、いつでも、必要なだけ解凍して使うことができるようになった。
また、煉製品の製造機械の発展もめざましく、石うすからサイレントカッター、手付けから自動成型機、観音扉の蒸し庫から、自動蒸しラインへ、扇風機から自動冷却装置へ……..と、ある意味、大量生産が可能になってコストが下がってきたのである。
さらに、近年では、東南アジアでも、すりみ生産がおこなわれるようになると、スケソウダラ以外のいろんな魚種の冷凍すりみが世界中を冷凍で流通するように なっている。
ただ、すりみを生産するためには、前記の理由から、大量の鮮魚が必要になり、中国など東南アジアの諸国では乱獲が原因で、資源が枯渇しはじめている。
また、広く国民にかまぼこを食べていただくという事、かまぼこが消費者により身近になった点はよかったのだが、反面、地方の味が失われ、全国画一化が進むとともに、元々、味の弱いスケソウダラを使うことによる欠点を補うための調味料による不自然な味つけが流行りだし、本来の魚の風味に欠ける商品が氾濫するように なってしまった。
舞鶴では、「美味しいものは残していかなければいけない。冷凍原料に頼りきってはいけない。地魚を生(なま)で活用する技術は残すべきだ。」という先人の教えに導かれ、今でも伝統の製法を守ってかまぼこ作りをしている。 つまり、地魚や近海の鮮魚を一匹、一匹丹念に頭切りし、 内蔵を取り身を採り…….という作業工程を組合事業として共同化して残している。もちろん、大量に漁獲して送られてくる冷凍すりみと地元の鮮魚からつくられる生すりみとは、元の魚の価格も違うし、製造コストもかなりの差がでてしまうので、原料コストでかなりのハンディを背負っているのが『舞鶴かまぼこ』である。
しかし、安心、安全で美味しいとお客様に喜んでいただける間は、現在の製法をやめるつもりはない。

投稿日/2024年1月27日

かまぼこの表面がピンク色である理由  かまぼこ百科㉗

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこの表面がピンク色である理由

小中学校の社会見学でお越しになった生徒さんが、私ども見学にこられて、たくさんの質問をされるわけであるが、その中でも、高い確率でこの質問が出てくる。
古くから、日本人は、中国から渡来した紅染の技法とほんのりした色合いを深く愛してきた。紅花や紅については「万葉集」の中の相聞歌に多くみられる。古の男女の心をとらえた色が「紅花」であり、「紅」だった。また、淡い紅色が日本人に深く愛された要因の一つに、冠位や身分を示す青、赤、黄丹(きあか)、支子(くちなし)、深紫(こむらさき)などの「禁色 (きんじき)」<身分の低い人は使ってはいけない色>であったことだ。その禁色の赤だが、薄い紅色の赤は「許色(ゆるしいろ)」として使うことが許されていた。
そのくらい庶民にも長い歴史の間、好まれ、愛されてきた色であったわけである。
現在では、ハレの日の色は、紅白を主体としていることが多い。運動会、竣工式、起工式、祭り等々、紅白の幕がとことどころにみられるようになる。
ハレ(非日常という意味)の料理<日常の料理はケの料理という>には、むかしから紅白のかまぼこが使われていたし、節句料理の中でも正月料理として残ったおせち料理にも、おめでたさを表現するハレの料理として紅白のかまぼこが使われてきた経緯がある。
また、かまぼこの表面は染められているわけではなく、単に、食用色素を練り込んだすりみを薄く表面に薄く押し出しているだけのことである。よく見ると、かまぼこの表面には薄い紅色の層ができているのがわかる。
かまぼこの成形機から送り出される身を見ていると、その成形機の金型を変えることで、紅白のかたちを、中央から半分紅色で半分白色だとか、かまぼこの中央に金太郎あめのように模様のはいったかまぼこも作ることができる。
また、最近では、お祝いだけでなく、法事にもかまぼこが使われるが、さすがに 紅白のかまぼこでは気が引けるので、食用の若草色を使って、緑の塗り身で覆った蒲鉾も注文に応じて生産している。(白いかまぼこの表面に法事の図柄を入れた包装紙で包装している場合もある。)
北洋のスケソウダラは、かつては無尽蔵にある資源といわれたこともあったほど資源量も多く、価格も安価であったことから、これを冷凍すりみにする技術が開発されてから、全国のかまぼこ屋さんが、近海魚の加工をあきらめて、冷凍すりみを使ってかまぼこ製造をするようになり、さらに高度成長期には、各種の効率的な生産機械ができて、蒲鉾屋さんの生産能力が飛躍的に向上したことにより、かまぼこはかつてのような高級品から日常的な比較的廉価な加工品に変化してしまった。 つまり、ハレの食品からケの食品に変化しつつあるということになる。
しかしながら、昔ながらの製法を一部保持しながら、伝統を守り続けている舞鶴かまぼこは、廉価商品とは少し距離を置いて、あくまでも、地元の鮮魚を使った伝統の製法でかまぼこを作り続けている。どのような時代になろうと、おいしいかまぼこを食べていただけることこそが我々舞鶴のかまぼこ生産者の使命であると考えているからである。

投稿日/2024年1月26日

かまぼこはなぜ白いのか  かまぼこ百科㉖

かまぼこ博士のかまぼこ百科


「かまぼこ博士のかまぼこ百科」は、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄専務理事(舞鶴市民から「かまぼこ博士」と呼ばれています。)が執筆され、2011年から約4年間にわたり、舞鶴市民新聞に連載されたものです。かまぼこ、とりわけ舞鶴かまぼこへの愛に満ちた「かまぼこ博士のかまぼこ百科①~㊺」を順次掲載します。読めばあなたも「かまぼこ博士」。そして、舞鶴かまぼこがとても食べたくなってしまうでしょう。
なお、当コラムに掲載するにあたっては原文のままとし、日時や役職、社名等も当時のままとしています。また、今では存在しないメーカー、商品もありますのがご了承ください。

かまぼこはなぜ白いのか

ちょっと昔、かまぼこは、漂白剤を使って、表面を白くしているのではないかという疑惑がわき起こったことがあった。実際には、ほとんどの蒲鉾業者はまったく使用していなかったのであるが、当時、関東地区で製造していた浮きハンペンなどの「ゆでもの」には、一部殺菌の為に使われていたものがあったようである。(以後は使用禁止となり今では使われていない。)
かまぼこが白いのは、原料に白身の魚を使い、細かくした魚肉を水でよく洗う水晒(みずさらし)をするためである。
イワシ、サバなどの青背の魚や、マグロなど赤身の魚肉が赤い色をしているのは、ミオグロビンなどの筋肉色素を多量に含んでいるからであり、ミオグロビンや血液の色素ヘモグロビンは鉄を含んでいるたんぱく質で、加熱すると灰色にかわる。 魚の種類によって、ミオグロビン含量が違い、当然ながら赤身の魚に多く、白身の魚は少ない。普通の水晒しでは、こららの筋肉色素を完全に洗い出すことはできない。
このため、色素含量の多いイワシやサバなど、赤身の魚からは灰色のつみれや黒ハンペンのようにくすんだ色の商品しかできない。
したがって、板付きのかまぼこに、こうした赤身の魚を使うことはあまりない。
舞鶴で、いわしが大量に獲れた時期には、イワシの活用ということで、「イワシ蒲鉾」なるものも開発したことがあったが、健康ブームが去ると、やはり色がくすんだかまぼこは商品価値が低いためか、売れなくなった。
ただ、同じ白身の魚であっても、色素含量に多少の差がある。舞鶴かまぼこの命 とも言われているシログチという魚は、いくらよく晒しても真っ白にはならないが、スケソウダラやエソといった魚の身は晒すと真っ白になる。
水晒しには功罪があり、肉中の水溶性たんぱく質やエキス成分も洗い流されてしまうので、魚肉の成分の有効利用という面から考えるとマイナス面であるが、水晒しをすることで生臭さがとれたり、かまぼこの足 (=弾力)が強くなり、色が白くなるというプラス面がある。ただし、板ものはそうした白さが求められるのに対して、同じ練製品の天ぷら、ちくわではそのハードルが低く、多少色がくすんでいても商品価値が下がらないので、赤身の魚も一部活用することができる。
漁連など水揚げ後に、生鮮魚としての価値の低い魚(消費者になじみのすくない魚という意味であり、魚そのものの持つ価値やの鮮度や品質をいうものではない)も、水さらしをすることでかまぼこの原料として有効に利用できるようになるので、舞鶴のように、漁獲された魚を広い範囲で有効利用することができるすりみ工場を自らもっている地域は、これからの近海魚の有効利用という面からは、メリットが大きいのではないかと思う。
よく消費者から、かまぼこはどんな魚からでも作ることができるのですかという質問をお受けするが、基本的には、こうした理由から、品質や色合いの良し悪しは別として、どんな魚からでもかまぼこはできますとお答えするようにしている。

Page top